一番嘘が上手いのは
「一番嘘が上手いのは」
          作 菅原悠人

 登場人物
  ・マリア 
  ・男   

 ベンチが一つ置いてある。
 マリア、ベンチに座っており、本を開いて読み始める。

マリ ジュリエットの家でパーティーが開かれていた。そこに忍び込んだロミオはジュリエットを見つける。そして、二人は恋に落ち、結婚を誓った。しかし、両家は争っており、誓いを果たすことは許されなかった

 マリア、本を閉じる。

マリ よし、死の

 マリア、小瓶をポケットから出し飲もうとする。

男  まてまて!

 男、マリアから小瓶を奪おうとするがマリア離さない。

マリ またなの!!
男  自分で死ぬなんて間違えてる!
マリ そんなのあなたに言われる筋合いないわ!離して!
男  離しません!

 男、小瓶を取る。
 
男  僕を困らせないでくれよ
マリ 私がいつ困らせたの

 マリア、男から小瓶を取る。

男  今ですよ
マリ 御冗談を
男  はあ?
マリ だってそうでしょ。私は死にたいの、なのに死のうとするの毎回毎回邪魔しに来て、さぞかしお忙しいのでしょうね、お困りのことでしょうね。だってお忙しいのだから
男  バカにしてるんですか
マリ あら、そんな風に聞こえまして?
男  それ以外に聞こえませんよ
マリ それは私じゃなくてそちらに問題があるのでは?
男  君は
マリ 私はマリア、君じゃないわ
男  そんなこと今はどうでもいいんです!
マリ 今、どうでもいいって言った!?
男  何か問題でも
マリ 私にはマリアって素敵な名前があるの!どうでもよくないわ!
男  君が死のうとしてるのが問題です!
マリ いいえ!私の名前!
男  違う!
マリ 違わない!
男  君はいつもそうやって
マリ マリア!
男  もういいですよ
マリ 何にもよくなんてない!
男  ええ、その通りです
マリ いつ私の名前を言ってくださるの
男  君が死ぬのを諦めたら言うかもしれませんね
マリ じゃあ永遠に言ってくれないじゃない!
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