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扉を開けて

〜オマージュ「風の音が聞こえませんか」〜

　　扉を開けて　〜オマージュ「風の音が聞こえませんか」〜

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　高橋幸良
　登場人物
　　ひかる（ひきこもりの青年）
　　みち（ケースワーカー）
　　過去のひかる
　　未来のひかる
　　母

　扉に見立てた衝立がたっている
　他には何もない
　母、現われる。とまどいつつもノックする様子（合わせて太鼓で音）

母　ひかる、母さんよ、開けて（無反応）
　　これ、おはぎ作ったから…ここに置いてくね（衝立の前に包みを置く）

　無反応。母、うなだれ去って行く（長胴太鼓でリズム）
　衝立か少し動いて手が出る。包みを中へ持ちさる

　太鼓演奏

　みちがやってくる（太鼓で足音のリズム）
　みち、じっと衝立を見る。ノックする。（合わせて太鼓）無反応
　もう一度ノックする.今度の方が大きい音（太鼓で）無反応
　ひかるめて帰って行く（太鼓で）
　衝立の向うに蠢く人の気配（太鼓以外の楽器で効果音）
　ひかる、衝立の上に少しだけ顔を出し、外を伺う（笛の音）

　太鼓などによる朝の情景の表現
　鳥が２羽やってくる（人もしくは人形などを持って表現）扉をつつく表現
　ひかる、衝立の上に顔を出す。鳥たち外へ誘う。ひかる、拒否
　老夫婦、やってくる。（篠笛などで情緒的な曲演奏）
　老夫婦、お茶など取り出しのんびりと飲んでいる　
　老夫婦立ち去る

　夜の情景の描写
　ひかる、衝立の向こう側に立つ

ひかる　銀河の星々よ。ぼくの故郷の仲間たちよ。早く迎えにきてくれ
　　　　もう限界だ。耐えられない

　（太鼓演奏）衝立の向こうで、ひかるも演奏
　演奏が終わり静寂。そしてまた朝

　みちがやってくる
　衝立の前でとまる。ノックする

みち　おはようございます。ひかるさん。いらっしゃいますね？　返事してください
　　　あやしい者じゃありません（返事を待つが無反応。しかたなく去る）

　衝立の上にひかるが顔を出す

ひかる　あやしいものが「あやしいものです」って言うわけない（みちが戻ってきた
　　　　のに気づいて顔をひっこめる）
みち　ごめんなさい。考えてみたらあやしい者があやしい者ですって言うわけない
　　　ですよね。あやしい者こそあやしくないって言うんですよね。でも、だったら
　　　本当にあやしくない者は何て言えばいいんでしょう？　
　　　あやしいって言っちゃったらあやしいことになっちゃうし…本当にあやしく
　　　ないんですって言ったら、ますますあやしい感じになるし…ああ、もう何だか

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