君のいる教室
『君のいる教室』
登場人物
♂タケシ 高校二年生。
♀ユリエ 中学二年生。タケシの妹。
♂カズキ 高校二年生。タケシのクラスメート。
♂ハヤト 高校二年生。タケシのクラスメート。
♀アヤメ 高校二年生。タケシのクラスメート。
♀サクラ 高校二年生。タケシのクラスメート。
♀モモカ 高校二年生。タケシのクラスメート。
♂田中 担任教師。
♀タケシの母
♂タケシの父
開幕
1場
タケシが制服のまま舞台の中央で仰向けに寝ている。
タケシ、目を覚ます。
タケシ「うーん、この天井は…」
タケシ、起きあがって洗面所の鏡を見る。
タケシ「これは!」
暗転。
2場 昼休みの教室。
カズキとハヤト、黒板に机を向けて弁当を食べている。
カズキは真面目そうな服装。ハヤトは乱れた服装。
タケシ、机の中から何かを探している。
アヤメ、サクラ、モモカ、机をくっつけあって食べている。
アヤメ「ねえあんたたち知ってる? 南館に出る幽霊の話」
サクラ「やめてよ…。今晩トイレにいけなくなったらどうするの」
モモカ「トイレで寝ればいいんじゃないの?」
アヤメ「あそこにある鏡って、交通事故で死んだうちの生徒の父兄が寄付したんだってね。」
サクラ「やめてって言ってるのに!」
モモカ「トイレで寝るのはちょっと狭いかもね。この季節だから寒いことはないだろうけど」
アヤメ「その子が死んだ午後七時ごろ南館に行くと、その子の姿がぼうっと浮かび上がる…」
サクラ、耳をふさぐ。
タケシ、カバンの中をひっくり返して探す。
タケシ「(独白)ない」
アヤメ「その子は鏡の中からこう言うの。『あたしの教室はどこ?』って」
サクラ「(耳をふさいだまま)あー、あー、あーっ!」
モモカ「死んでからずいぶん経ってるんでしょ。自分の教室なんかもうないことくらいわかりそうなものだけど」
モモカ、菓子の袋から小袋を取り出す。小袋を開ける。口の中に放り込む。
モモカ「うげぇぇぇっ、除湿剤だった!」
モモカ、除湿剤の袋をゴミ箱に捨てる。
アヤメ「幽霊って、自分が死んでるって気がつかない場合がけっこうあるらしいよ。なんだか時間の流れがあの世とこの世で違うらしいんだ」
モモカ「あたし、吹部だからけっこう七時ごろにあの鏡のそばを通るけど、何にも見たことないよ」
アヤメ「だからそれは、見える人と見えない人がいるってことでしょ」
モモカ「霊が見えないってことは、鏡にも映らないってことじゃないの?」
アヤメ「霊は鏡になんか映らない。だけど見えないだけで、この教室にだって、霊がふらふらしているのかもしれないよ。霊感がある人にはみえちゃうんだ…、ちょうど…」
アヤメ、サクラの耳をふさいでいた手を強引にどける。
アヤメ「この子みたいに!」
サクラ「きゃーっ、きゃーっ、きゃーっ!」
タケシ、サブバックの中をひっくり返す。
タケシ「(独白)ない」
ユリエ、弁当箱を二つ持って登場。ひとりだけ中学の制服。
ユリエ「アニキ! いっしょにお弁当食べよう!」
タケシ「あーっ! なんでおまえがおれの弁当を持ってるんだよ!」
ユリエ「あんた自分で持ってたら、さきにお弁当食べてどっかにいっちゃうでしょ!」
アヤメ「あら、ユリエちゃんいらっしゃい」
タケシ「おまえくらいだぞ、高等部の教室に平気で出入りする中学生なんて」
1/11
面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種
Windows
Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。