好きです つき合ってください
『好きです つき合ってください』

登場人物
 ユリエ 高校二年生。女子。康一郎の双子の妹。康一郎役と顔が似ていない役者が望ましい。
 夏実  高校二年生。女子。男言葉。
 翔子  高校二年生。女子。
いずみ 高校二年生。女子。
アケミ 高校二年生。女子。
 啓介  高校二年生。男子。ユリエの双子の兄。ユリエ役と顔が似ていない役者が望ましい。
 雄一  高校二年生。男子。啓介より背が高い役者が望ましい。
 担任  男性。

開幕

    下手にホワイトボード、教卓。下手から上手にかけて生徒用の机椅子が7セットのみ並んでいる。
    上手から生徒たちがしゃべりながら歩いてきて席につく。
雄一 「池田さん、おはよう」
夏実 「おはよ」
雄一 「伊吹さん、おはよう」
翔子 「おはよう」
雄一 「松本さん、おはよう」
いずみ「おはよう」
雄一 「市川さん、おはよう」
アケミ「おっはよーっ!」
雄一 「ユリエちゃん、おはよう」
ユリエ「はいっ、義理っ!」
   ユリエ、ポケットからブラックサンダーを出して雄一に渡す。
ユリエ「何? 気に入らないの?」
雄一 「いや、ありがとう」
   ユリエ、上手の自分の席につく。啓介、雄一に近づく。
啓介 「おい…、なんであいつだけ中村さんじゃなくてユリエちゃんなんだ」
雄一 「おまえと同じ苗字でまぎらわしいからだ」
啓介 「兄妹なんだから当たり前だろ」
雄一 「しかし、この様子は…」
   雄一、自分の席(いちばん前)から周りを見回す。
啓介 「ずいぶん広いな」
下手から担任登場、教卓につく。
   チャイムの音。
ユリエ「起立!」
   生徒、全員起立。
ユリエ「兄貴! 緒方! もっときびきび立て! (間)きをつけ! 礼! 着席!」
   生徒、全員着席。
啓介 「先生、いつからうちのクラスは七人だけになったんですかあ?」
担任 「いま説明しようとしたところだ。この七人以外は全員インフルエンザで倒れた」
啓介 「ってことは…」
担任 「学級閉鎖だ」
啓介 「ヤッターッ!」
   雄一とユリエ以外、全員思い思いにガッツポーズを取る。
担任 「もっともウチのクラスだけ春休みが短くなるわけだが」
啓介 「ええええっ! 学校オーボー!」
   雄一以外、わあわあ騒ぐ。
担任 「やかましい! 今日は出席だけ取って解散するが、寄り道せずにまっすぐ帰れよ!」
啓介 「先生、ほかの連中が休みなのはわかりましたが、机まで無いのはなぜですか」
担任 「今日、隣の教室で研究授業があるんだ。それで机椅子が足りないから運ばせてもらった。次に学校に来た時、みんなに運び入れてもらう」
啓介 「ええええっ!」
   雄一以外、わあわあ騒ぐ。
担任 「やかましい! (ユリエの顔を見て)中村!」
ユリエ「起立!」
   生徒、全員起立。ただし、雄一以外はいい加減に立っている。
ユリエ「緒方! もっときちんと立ちなさい!」
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