二人の俺
「二人の俺」
        作 菅原悠人
登場人物
・佐藤拓也(サトウタクヤ)
・少女
・謎の男

拓也(N)「俺の名前は佐藤拓也。ただの高校一年生、ただの…引きこもりだ。引きこもりになる原因は色々あると思う。イジメ、学校になじめない、非行などなど。俺にはどれも当てはまらない。勉強も運動もまあまあ出来たし、友達も少しはいた。ただ、正直人に合わせるのは苦痛でしかなかった。それは親でも変わらない。抜け出したかった。でも一番嫌いで、一番抜け出したいのはそう思ってしまう自分自身だ。引きこもって三か月が経過した。父さんも母さんも担任の教師も最初は学校に行かせようとしたが、もう諦めたらしい。そんな時、俺の部屋に一人の少女が入ってきた。」

〇拓也の部屋
 SE ドアが開く音
   少女「よう。」
   拓也「え、だれ。」
   少女「学校に行け。」
   拓也「なんだよ、急に。」
   少女「じゃないとお前は不幸になる。」
   拓也「関係ないだろ、だいたい誰だよ人の部屋に勝手に。」
   少女「お前は今幸せなんだよ。」
   拓也「幸せ?」
   少女「帰る家がある、温かく迎えてくれる家族がいる。まだやり直せるんだ。」
   拓也「頭湧いてんのか?母さん何でこんな奴あげたんだよ。」
   少女「俺は、こうなって初めて気づけたんだけどな。」
拓也(M)「この女なにを言っているんだ。あれ?」
   拓也「お、おい!お前透けてないか!?」
   少女「え、もう時間か。本当に少しなんだな。」
   拓也「なにを。」
   彼女「なあ、変な男に話しかけられたら逃げろよ。」
   拓也「ちょっと待てよ!何なんだお前は!」
少女「俺はお前だよ。」
拓也(M)「あ、消えた。俺は夢でも見ているんだろうか。」

〇次の日・外
SE カラスの鳴き声
拓也(N)「次の日、俺はコンビニに行くために外に出た。別に用事なんて何もなかったけど、母さんと同じ家にいるのが嫌だった。」
   謎の男「やあ、こんにちは。君は良い顔をしているね。」
   拓也「え!?あ、え、ええ…っと。」
   謎の男「ん?ああ!申し訳ない、そう言えば気配を消す薬を飲んでいたんだったよ!」
   拓也「はい?」
   謎の男「僕はね、色々な薬を開発して試しているんだ。君には何もない所から声をかけられたように感じたかな。」
拓也(M)「ヤバい奴だ、逃げないと。」
   謎の男「自分が嫌いなんだね。」
   拓也「え?」
   謎の男「そういう顔をしている。僕なら君を新しく生まれ変わらせることが出来る。」
   拓也「俺を、生まれ変わらせる?」
   謎の男「興味はあるかい?」
拓也(M)「俺でも、何かを始めれば自分から抜け出せるのだろうか。」
   拓也「少し、あるかも」
   謎の男「そうか!じゃあ早速!」
SE カバンから物を探す音
   謎の男「えっとどこに…あ、あったあった。さて。」
   拓也「は、はあ!?なに!?ちょっ…」
SE 発砲音

〇謎の男の家
   ?「ん。」
   謎の男「やあ、おはよう。」
   ?「ここは。」
   謎の男「ここは僕の家だ、少し汚いのは目をつぶってもらえるとありがたいな。」
   ?「そう…って拳銃!?どういうことだよ!」
   謎の男「そんなことより、ほらほら自分の顔をしっかりと見てごらんよ!」
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