デュプリケイト・サンクス
デュプリケイト・サンクス
あらすじ
ある日、紹介状を持ってカウンセリングに来たのは重い心臓疾患を抱える女の子だった
木戸リツカ。そう名乗った少女と話をしてわかったのは、近々に心臓の手術を受けるという事。
それが恐ろしくハイリスクで、おそらく自分はその手術で死ぬと言い切った事。
だから、できるだけ僕は寄り添うように話を聞く。死への恐怖、手術への不安、人間関係のストレス。
それらからほんの少しでも心が軽くなるように、いつも通り語りかける。そう、いつもとかわらない。
今回もそのはずだった。
「先生。今そこから飛び降りようとしてた?」
彼女に自殺の現場を見られるまでは。
これは僕と彼女が抱えるナゾと秘密が暴かれて、ほんの少しだけ許される話だ。
登場人物
僕 ある秘密を抱えている。医者
私 あるナゾを抱えている。病人
姉 ある病気を抱えていた。私の姉
● ト書き
du・pli・cate
【デュプリケイト】
1:複製
2:瓜二つの
3:
4:
病室-部屋は簡素だが本やラジオ、音楽、テレビなどの設備がある程度ある。
●僕-扉をノックする。
私 はぁい。
僕 失礼するよ。
●僕-扉を開ける。
●私-手紙を書いている最中。
私 ん?あぁ、先生!こんにちは。
僕 やぁ、調子はどうだい?
私 うーん、普通。どうかしたの?カウンセリング、今日もだっけ?
僕 たまたま通りがかってね。ま、お見舞いとでも思ってよ。
私 あはは、嬉しいなぁ。なんだか新鮮な気分。
僕 ……それは?何を書いているんだい?
私 ん、えー……これ?お手紙。
えっと……退院しちゃった友達から手紙が届いたから返事を書いてるの(何かをごまかすように)
僕 ふーん。今時手紙か。珍しいね。
私 手紙のほうが気持ち伝わるでしょ?ま、みんな退院しちゃったから暇なだけなんだけどね。……あ。ねえ、先生。
僕 ん?
私 私、まだ「ありがとう」って言ってもらってないよ?
僕 えー……と。ぼく何かしてもらったっけ?
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