鶴のどんでん返し
『鶴のどんでん返し』

【登場人物】4名(男2女1不問1)
鶴:女。和服姿。人間に化けた鶴。
爺:男女不問。鶴を助けたお爺さん(お婆さんでもよい)
男:男。自称鶴。衣装は和服でもよいし、シャツと短パンでもよい。
狩人:男。最後にだけ登場。

【上演時間】10分

【あらすじ】
人間に化けて恩返しにやってきた鶴。
しかしそこに、自分こそが助けられた鶴だと自称する男がやってきて……?
昔話パロディコメディ。

【本編】

鶴「私は鶴。罠にかかっていたところをお爺さんに助けられました。
  恩返しをするため、こうして人間に化けてきたのです。
  さぁ、行くわよ。正体が鶴だとばれないように気を付けないと……」

(入口をノック)

爺「はーい、どなたですか?」(入口を開ける)
鶴「旅人のお鶴と申します。宿を貸してくれませんか?」
爺「はい、いいですよ」
鶴「ありがとうございます。お礼にハタでも織りましょう。ただし織ってるあいだは、」

(入口からノック音)

爺「あ、ちょっと待って、またお客さんだ。はい、どうぞ」
男「こんにちは! 昼間助けていただいた鶴です! 恩返しに来ました!」
爺「え?」
鶴「えええええ!?」
男「恩返しするので家に入れてください!」
爺「はぁ、どうぞ…」
鶴「いやいやいや! ダメですよ、こんなやつ入れちゃ! こいつは偽者です!」
爺「え? なんでわかるの?」
鶴「それは私が鶴……! つ、鶴に、詳しいからです」
爺「そうなの?」
鶴「はい、鶴はこんな姿してません」
爺「それくらいはワシだって分かるけど」
男「人間に化けてきたんです!」
爺「鶴ってそんなことできるの?」
鶴「それは、確かにできます」
爺「できるんだ」
鶴「でもそれとこれとは別です。
  こいつはきっと昼間あなたが鶴を助けるのを見てたんです。
  それで、こんな詐欺の手口を思いついたのでしょう!」
男「違いますよ!」
鶴「ほら、思い出してください。あなたが助けた鶴はメスだったでしょ?」
爺「そう言われても鶴のオスメスの見分け方なんて知らないし」
鶴「なんで知らないんですか!」
爺「別に鶴に興味ないしなー」
鶴「興味ないのになんで助けたんですか!」
爺「誰かを助けるのに理由なんているのかい?」
鶴「セリフだけ聞くとかっこいいけども!
  あ、じゃあこの人の顔よく見てください。
  あなたが助けた鶴はもっとつぶらで可愛らしい瞳をしていたでしょう?」
爺「えー? んー。いや、こんな感じじゃなかったかなあ?」
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