すき焼き
「すき焼き」(作・井口時次郎)
【登場人物】
斉藤みどり(24)・・・斉藤家の長女。社会人2年目。
斉藤真理子(18)・・・斉藤家の次女。高校3年生。
***脚本ここから***
6月のある日。
斉藤家のリビングルーム。
ダイニングテーブルにはスーパーの買い物袋に入った食材が置いてある。
鍋を持って上手からみどり登場。
みどり ・・・ふぅ。
何をするでもなく椅子に座るみどり。
しばらくぼんやりしている。
鍵が開く音がして、下手から真理子が入ってくる。
制服を着ており、学校帰りのようである。
真理子 あ、お姉ちゃん帰ってたんだ。
みどり おう。
真理子 早いじゃない。
みどり まぁ、こんな日くらいはね。
真理子 そっか。
みどり あんた、いつもこんなに帰り遅いの?
真理子 まだ6時だよ。
みどり そりゃそうだけど。(短い間)わざとゆっくり帰ってきたのかと思って。
真理子 ・・・そんなことしないよ。
みどり 別に学校にいたってすることないでしょ。
真理子 お姉ちゃんと違ってね、部活があるの。
みどり 演劇部?
真理子 そう。大会近いから大変なんだよ。
みどり 部長だっけ?
真理子 副部長。
みどり ふーん。
真理子 (買い物袋を見て)何これ。
みどり あぁ、すき焼き。
真理子 すき焼き?
みどり するんだって。
真理子 おかあさんが?
みどり そ。材料買ってきてって言うから、東京ストアー行って買ってきた。
真理子 もう6月だよ?
みどり しかたないでしょ。母さんがすき焼きがいいって言うんだから。
真理子 なんか、
みどり ?
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