霧笛の音が聞こえたら。
(60分Ver.)
■タイトル:霧笛の音が聞こえたら。 作:つむぎ日向
■登場人物
・朝日奈 卓(アサヒナ スグル):男。三十歳。俳優。
・黒部 欽二(クロベ キンジ):男。三十歳(当時)。実業家。1958年生まれ。
・三崎 志保(ミサキ シホ):女。二五歳。雑誌記者。
・星野 幹也(ホシノ ミキヤ):男。二八歳。朝日奈のマネージャー。
・横山 真奈(ヨコヤマ マナ):女。三二歳。役所職員。
■あらすじ
公演中の事故でトラウマを抱え、挫折した俳優がいた。彼はある日、差出人不明の手紙を受け取り、そこにあった小劇場に向かう。
するとそこで、彼はおかしな男と出会うのだった……。
■本編
プロローグ
開幕。
劇中劇。本編よりも三年前。公演が始まる。
悩める若者が強盗を企てながらも、悩みと戦っていく。というストーリー。
主演は朝日奈卓。その冒頭シーンから始まる。
暗闇の中、開演のブザーが鳴り響く。
明転。
中央に朝日奈。
場所は屋外(公園のような場所)。時間は夜(劇中劇の設定)。
朝日奈は中央の椅子に腰かけている。
空を見上げ、手を上に伸ばしながら、ゆっくりと台詞を話し出す朝日奈。
朝日奈「なぁ、知ってるか?流れ星って、指先ぐらいのサイズなんだってよ。おかしな話だよな……そんな小さな物に、願いを懸けるなんてさ」
伸ばしていた手を下げ、立ち上がり、前に出てきて宣言する。
朝日奈「星になんか頼んでも願いは叶わない。神も仏も同じだ。だから自分達でやる。この手で、願いを叶えよう」
劇中劇のBGMが盛り上がって行く。
暗転。
OP。
(暗転したまま)
ガシャンという大きな音が聞こえ、曲が止まる。
照明機器が落下して、朝日奈が下敷きになっている。意識のない朝日奈。
そして慌てた声だけが聞こえてくる。
(暗転したまま)
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