Strawberry Switchblade
Strawberry Switchblade
ストロベリー・スイッチブレイド
作 渡辺キョウスケ
※この戯曲は、喫茶店で上演されることを想定して書かれています。
《登場人物》
いちご
イチゴ
店員
いちご、入店する。眼鏡をかけた女性。
いちご、席に付き、店員にコーヒーを注文する。
すると、そこにイチゴが入店する。松葉杖をついた女性。
いちごは席に座ったまま、イチゴはいちごの席に向かいながら、共に同じモノローグを語り出す。
いちご・イチゴ「・・・これから始めるのは、私達の話である。私の名前はいちご(イチゴ)。そして、彼女の名前もいちご(イチゴ)という。同じ名前の私達は小学校時代の同級生で、先日、十数年ぶりに再会した。そこで私達は、お互いの近況報告も兼ねて、この喫茶店でお茶の約束をしたのだった」
イチゴ、いちごの席に到着し、互いに顔を見合わせる。
いちご・イチゴ「・・・ストロベリー・スイッチブレイド」
そして、二人の会話が始まる。
イチゴ「ゴメン、待った?」
いちご「ううん。私も今来たところだから」
イチゴ「(席に座り)何か頼んだ?」
いちご「うん、さっき」
そこに、店員がいちごの頼んだコーヒーを持ってくる。
イチゴ「(店員に)じゃあ、私もコーヒー」
店員、イチゴの注文を受け、立ち去る。
イチゴ「今日は仕事大丈夫なの?」
いちご「うん、休みもらったから」
イチゴ「そうなの?」
いちご「うん」
イチゴ「え、何か悪いね、わざわざ」
いちご「ううん、全然。有休残ってたし」
イチゴ「え、有休使って休んでもらったの?じゃあ、尚更申し訳無いよ」
いちご「あ、いや、ホントに大丈夫だから。使わないで貯まってたんだ。年度内に消化しろって上からも言われてたし」
イチゴ「やっぱりうるさいんだ、最近そういうの」
いちご「まあ、地方公務員だから、余計ね」
イチゴ「ふーん・・・図書館司書ってさ、どんな感じなの?」
いちご「どんな感じって?」
イチゴ「いや、だからさ、仕事として大変なの?」
いちご「まあ、書架整理とかは力仕事かな」
イチゴ「へえ」
いちご「でも、楽しいよ。私、本好きだし」
イチゴ「ああ、アンタ、昔から本好きだったもんね」
いちご「うん・・・」
イチゴ「休み時間とかさ、アンタ、ずっと自分の席で本読んでたしね」
いちご「・・・友達、いなかったから」
イチゴ「・・・ねえ」
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