赤ずきんは機嫌が悪い
『赤ずきんは機嫌が悪い』
【登場人物】4名(男1女2不問1)
部長:女。演劇部長。赤ずきんの衣装。怒りっぽい
後輩:男。演劇部員。普通の学生服。怒られてうなだれている
狩人:男女不問(この本では男) 狩人の衣装。ツッコミ
祖母:女。部長のおばあちゃん
【上演時間】15分
【あらすじ】
『赤ずきん』の劇をやることになった高校演劇部。
しかしリアリティにこだわる演劇部部長が
本物の狩人、本物のおばあちゃん、本物のオオカミを使うと言い出した!
はたして劇は無事に公演できるのか?
【本編】
(演劇部の部室。部長、後輩、狩人の3人が座っている)
部長「……どうすんのよ」
後輩「……ごめんなさい」
狩人「おい、もう許してやれよ」
部長「許せるわけないでしょ! どうすんのよ!
赤ずきんも狩人もおばあちゃんも揃ってるのに
肝心のオオカミ役がいなきゃ、劇できないじゃん!」
後輩「…………ごめんなさい」
部長「……なんでよ」
後輩「…………」
部長「なんで、嘘ついたのよ」
後輩「…………」
部長「なんで、ペットにニホンオオカミ飼ってるなんて嘘ついたのよ!」
狩人「あのさぁー、言っちゃ悪いけど騙されるお前もどうかと思うぞ?」
部長「なに!? 私が悪いっていうの!?」
狩人「嘘に決まってるだろ、ニホンオオカミとか」
部長「すっごく言葉たくみに話してきたの! 信じるでしょ、そりゃ」
狩人「信じるなよ、そんなもん」
部長「ちょっと! あんときのセリフ、もう一回言ってみなさいよ!」
後輩「オオカミ? あーちょうどよかった! 俺ニホンオオカミ飼ってるんですよ。
ああ、北海道のおじさんが野生動物保護観察員っていう仕事してて。
怪我してもう野生に帰れないオオカミを保護してるんですけど、
そのオオカミが二年前に子どもを生んで。特別に一匹わけてもらったんです。
かわいいですよー。野生とか抜けて、もうほとんどただの犬と変わらないけど。
こないだなんて、家の前通った犬に吠えられて、犬小屋に隠れちゃって。ははは」
狩人「…………確かに、信じるな、これ!」
部長「でしょ!?」
狩人「お前、すげえな。よくそんなペラペラ嘘しゃべれるな」
後輩「まぁ一応演劇部員ですから」
部長「演劇部じゃない! もう、あんたはクビ!」
後輩「ええっ!? 待って下さいよ、部長!」
部長「オオカミも飼ってないやつに演劇部にいる資格ない!」
狩人「それ日本中の誰も資格持ってねえよ」
部長「だって許せるわけないでしょ!
みなさいよ、こいつが連れてきたペット! チワワよ!?」
(近くに置いてあるペットケースから「キャンキャン」と子犬の鳴き声)
部長「こんな子犬でどうしろっていうのよ! 赤ずきん食べられるとこどうすんの!?
『おばあさんの口はどうしてそんなに大きいの?』
大きくないよ! 私の口のほうが大きいよ!」
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