Have a nice week end.
登場人物
・A……高校生。チャラ男。あほの子。
・B……高校生。おっさん。毒舌。適当。
ドーンという音が鳴るたびに、だんだんと赤(照明)が濃くなる。
1
ドーンと、雷が落ちたような音がする。
誰もいない教室。机と椅子が散乱している。後方には棚があり、本が数冊収まっている。
戸棚の近くには年季の入ったラジオがある。
A、登場。
机と椅子をひとつづつ立て、ラジオを机に置き、椅子に座る。
Aがラジオをつけると、讃美歌が流れる。
B、登場。
B「チッ誰かと思ったら、お前かよ」
A「うっせ、俺で悪かったな」
B「ああ、悪い。謝れ」
A「ごめん……っておかしいだろ!?」
B「どこが」
A「なんでお前に舌打ちされて、なんでお前に謝罪を要求されて、なんで俺は謝ってるんだよ!」
B「お前の人生すべてが誤りだったからだ」
A「なんだお前本当になんなんだお前はぁ!」
B「……にしても、やっぱりみんな来てねえな」
A「無視かよ……はぁ、そりゃあ休みだからな」
B「じゃあなんでお前は来てんだよ」
A「いいだろ別に」
B「じゃあなんでお前は生きてんだよ」
A「生きてちゃ悪いのか!?」
B「ああ、悪い」
A「なんでだよ!」
B「お前の人生すべてが―」
A「もういいよ!」
B「まあまあ、そうカッカするなよ」
A「誰のせいだ」
B「あ、俺のことは閣下と呼べよ」
A「何様のつもりじゃ閣下ぁ!?」
B「ちゃんと呼ぶんかーい。ところでさ、さっきからなに聞いてんの?」
A「知らね。讃美歌?」
B「なんで讃美歌なんか聞いてるんだよ、キモチワル」
A「お前、全キリスト教徒に謝れ」
B「ごめん訂正するわ。なんで誰もいない教室でひとりで座りながらキリスト教徒でもないのに讃美歌なんか聞いてたんだよ気持ち悪い」
A「お前俺んちの宗教なんて知らねえだろうが!」
B「へえ?お前ちキリスト教徒だったのか」
A「……仏教だけど」
B、それみろ、とでも言いたげな顔をする。
A「その顔やめろ」
B「で、なんで讃美歌なんて聞いてたんだ?」
A「いや、ラジオ付けたら流れてきたんだよ。まあ、ラジオだからな。聞きたいものが聞けるわけじゃねえんだよ……にしてもこのご時世に讃美歌なんて、皮肉なもんだ」
A、ラジオをきる。
B「そうか?まあ、うん。そうか」
ドーンという音。それと共に本が一冊落ちる。
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