何億光年も離れた場所から
何億光年も離れた場所から

蟹江 仁    男
魚住 千鶴   女
早乙女 彰浩  男
八木 大地   男
つぐみ     女

美紀
看護士(女)
声1・2

 第一幕
 舞台には少年時代の仁、千鶴、彰浩、大地、つぐみと、1つの天体望遠鏡がある。
 つぐみだけ仁たちとほんの少し離れている。

仁  「(天体望遠鏡をまじまじと見て)ほんとにすごいな、この天体望遠鏡!」
千鶴 「よくこんなもの持ってこれたねぇ、彰浩くん」
彰浩 「パパに頼んだら貸してくれたんだ。壊すなよ、仁」
仁  「わかってるって」
大地 「あー、もうお菓子食べ終わっちゃったよ?。千鶴、もう持ってないの?」
千鶴 「もう食べたの?大地くん」
彰浩 「こんな遅くにそんなに食べたら、メタボリック症候群になるよ」
大地 「め、メタ……?彰浩は難しい言葉よく知ってるなぁ」
仁  「おい、俺達が何のために、こんな深夜に学校の屋上きたか分かってるのか!」
千鶴 「わかってるよ。卒業記念でしょ?」
彰浩 「卒業までまだまだだけどね」
仁  「(天体望遠鏡を覗き込んで)あ!あの星めっちゃ綺麗!」
千鶴 「え?どれどれ!」
大地 「仁ばっかり見てずるいよー」
仁  「おいこら押すなよ!」

 仁・千鶴・大地で天体望遠鏡の奪い合いが始まる。
 そこに彰浩が割ってはいる。

彰浩 「やめろよ!壊れるだろ!」
3人 「ごめん……」
仁  「(ふと夜空を見上げ)あ!あれだよ!俺が言ってた星!」
千鶴 「あの、一番光ってる星?」
仁  「そうだよ、あれにしよう!」
彰浩 「いいね、肉眼でも見えるし」
大地 「にくがん?美味しそうな名前」
彰浩 「まだお腹空いてるの?」
千鶴 「綺麗な星だね」
仁  「名前は、朝話し合ったやつでいいよな?彰浩が考えてくれたやつ」
彰浩 「あれでいいなら」
千鶴 「賛成!」
大地 「いいよ?」
仁  「よし!じゃああの星は、本日八月十日から俺達の星だ!
例え離れ離れになっても、辛くなったら、あの星を見上げよう」
彰浩 「クサいぞ、仁」
仁  「うっさい!あの星の名前は、」

 全員の動きが止まる。舞台手前の中央にサス。そこにつぐみが入る。
 つぐみの台詞の間、1人ずつはけていく。

つぐみ「拝啓、星空研究会の皆々様へ。お久しぶりですね、小学校を卒業して以来だから、
    もう十年ぶりでしょうか。お元気ですか?私はというと、未だ文明の利器には
    慣れずに、こうしてメールではなく手紙で皆さんに連絡を取っています。
    さて、前置きはこれくらいにしておきましょう。今度、久しぶりに集まり
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