ある日、夢の中で…
気仙沼の街にある、小さなカレー屋
『ある日、夢の中で…』
〜気仙沼の街にある、小さなカレー屋〜
岡本ジュンイチ・脚本
登場人物
望月康一……アマチュア作家。大学生。文芸部に所属している。
山崎道雄……アマチュア作家。康一の親友で、同級生。
女性……十七歳。女子高生。
男性……女性の父。
その他、ダンサー数人
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開演前に、一つの歌が流れる。
♪
八月真昼時 カレー屋で
あったかく出迎えた 店員さん
ただただ厳かに 笑み交じりで
三月に起きたこと 教えてくれた
波にのまれた白いビル 残った建物火の海
涙流す元気さえ 奪われたのさ
「来てくれてありがと」と あの笑顔
忘れはしないだろう 気仙沼
波にのまれた白いビル 残った建物火の海
涙流す元気さえ 奪われたのさ
「来てくれてありがと」と あの笑顔
忘れはしないだろう 気仙沼
♪
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暗い舞台の上に、康一ただ一人がたたずんでいる。
康一「めぐる記憶。放たれる欲望。離れていく肉体。あふれる命。そんな言葉の羅列が浮かぶ途端、僕の中で、一つの物語が紡がれていく。それは、ある少女の物語かもしれないし、ある青年の物語かもしれない。とにかく、僕の中で物語が駆け巡るのを感じるのだ。それは、他の誰にも感じることのできない、とても不思議な感覚。ある日、夢の中で出会った、心踊らされるほどの快感。ある日夢の中で感じた、不思議で素敵な物語。」
音楽。
溶明。
舞台は康一の書斎の中。
どこからともなくダンサーたちが現れて、部屋の中や周辺を踊り舞っていく。
康一「ある日、夢の中で物語がパッと浮かんだ僕は、書斎の中で埋もれているデスクに向かった。そして紙とペンを持って、じっと思い浮かぶがままに物を書いていった。」
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