かわらぬましろ
かわらぬましろ
白雪（しらゆき）
キョウ
鏡の割れる音。
明転。
ベッドの上、包帯で顔を覆った白雪。
その傍らにキョウ。足元に割れた鏡が散乱している。
白雪 何度も言ってるでしょ。鏡は嫌いだって
キョウ …承知しております
白雪 早く片付けて
キョウ、足元の破片を拾い上げると、とりあえずベッドの横のテーブルに置く。
キョウ 白雪…
キョウ、手をのばして白雪の髪に触れる。
キョウ 髪、整えましょうか
白雪 いらない。触らないで
キョウ こんなにきれいなのに
白雪 なに。嫌味？
キョウ 本心です
白雪 もういいから、構わないで
白雪、キョウの手を払う。
キョウ 着替えはどうされますか
白雪 いい
キョウ では、朝食は
白雪 いらない
キョウ そうですか
車が近づいてくる音。
ハッとする白雪。
キョウ お父様とお母様がいらっしゃいましたね
白雪 部屋にいれさせないで。帰ってもらって
キョウ …よろしいのですか？
白雪 早く行って
キョウ、言われた通り部屋を出て行く。
しばらくすると、車が遠ざかる音が聞こえる。
キョウが戻ってくる。
白雪 帰ってくれた？
キョウ はい
白雪 そう
キョウ …会いたがっていましたよ、白雪と
白雪 私は会いたくないもの
キョウ そうですか
キョウ、窓辺まで歩いてカーテンを開ける。
暗い部屋に日が差し込む。
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