レッド・カーテン
『 レッド・カーテン 』 作:よしりん
■ 熟年者Ver. ■
とある芝居の上演中、その楽屋にて
出番を終えた女優2と女優3がくつろいでいる
そこに女優1がせかせかと入ってくる
女優1 はーい、終わり終わり。
女優3 あー、おつかれー。
女優2 お疲れ様ー。
女優1 別に疲れないわよ。出番っていったって、たったこれだけ!(台本の中の1ページをつまんでみせる)
これでどうやって疲れろっていうの?
女優3 まぁまぁ。あたしたちも同じようなもんなんだからさ、あんまり文句言いなさんなって。
女優1 あとは楽屋でカーテンコールを待つだけ! 女優人生って優雅よね。
女優2 あのー‥ せっかくの千秋楽なんだし、そんなにピリピリしないで、もっとこう、ね。ホラ、楽しく!
女優1 というかさ。あんたたち、くやしくない訳?
女優3 またその話ー?
女優1 わたしたちベテランを差し置いて、あんなぽっと出の小娘を主役に据えちゃって!
女優2 それはほら、演出さんの決める事だし‥。
女優1 で、長年劇団に貢献してきたわたしたちには、こーんな端役を平気で押し付けてさ。
女優3 どうにもできないわよ。くやしいっていうか、諦めてるっていうか。
女優1 男どももあの子ばっかりチヤホヤしちゃって。
女優3 何、あんた。妬いてんの?
女優2 それこそしょうがないわよ、男の人だったら。
女優3 若さの特権ってヤツ。
女優2 私達だって、若い頃はそりゃあねぇ、色々いい思いもさせてもらいましたし‥ うふふ。
女優3 順番よ、順番。あたしたちの番があって、次はあの子の番。
女優1 カーテンコールの真ん中には、わたしが居たのよ‥。
女優2 ‥‥。
女優3 ‥‥いいなさんなって、昔の事は。
女優1 もう‥ いいかな。
女優3 あーあ。
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