魔王軍入隊面接の巻
『魔王軍入隊面接の巻』

エレオノーラ(女)─世界征服を企む魔王。優美と怠惰をこよなく愛する。武器は魔法の杖。
ロバート(男)─エレオノーラの側近。怠け者の上司を支え続ける苦労人。武器は剣。
ジャック(男)─エレオノーラの執事。上司と同僚の攻防を見守っている。武器は銃。
ジュリエット(女)─魔王軍に志願したシスター。穏やかで慈悲深い性格。武器は聖書(魔道書)。
ノエル─魔王の打倒を狙う勇者。華麗な言動で魔王軍から憎悪を集める。武器は剣。
ナレーター─ナレーター。



○プロローグ

エレ(声)控えるがよい!我が名は大魔王エレオノーラ!
ナレ(声)数年前、突如として現れた魔王を自称する者――「エレオノーラ」。
エレ(声)いつの日かこのまかり間違った世界を正し、統べる者である!
ナレ(声)世界征服を宣言した彼女に、人々は恐れおののいていた。
     明日にも魔王の侵攻が始まるのではないかとーー。



○魔王城・事務室

   森の奥にある魔王城。
   舞台中央に、電話の置かれたテーブルと2脚の椅子がある。
   舞台上手側に、端にはティーセットの乗ったカウンターがある。
   ロバート、椅子に座り電話をしている。
   ジャック、カウンターに立ち紅茶を淹れている。

ナレ(声)ここは街外れの、深い深い森の奥。
     魔王とその手下たちが住むお城があります。

   明転。

ロバート いえ、決して怪しい者ではございません。
     我々はれっきとした財団法人「魔王エレオノーラ軍」でして、
     世界征服事業のためぜひとも御社様にご出資いただきたく──
     あっ、お待ちください!お話だけでもどうか!
ジャック どうでしたか?
ロバート 聞くの?それ。
ジャック …やめときます。察し付いたんで。
ロバート 賢明な判断だよ。聞いたところで僕の機嫌が悪くなるだけだからね。
ジャック どっからどう見ても不機嫌ですよ、ロバートさん。
ロバート だって!このままじゃ世界征服どころか、僕ら破産だよ?
     何件あたっても出資したい人はいないし、入隊希望者も来ないし…
ジャック 魔王の世界征服に協力したい人の方が珍しいと思います。
ロバート …いや、そうなんだけど。
     ここまで見つからないと、さすがにへこむじゃん…
ジャック これでも飲んで、元気出してください。
ロバート ありがとう、いただくよ。──まったく、こんな状況だってのに、
     あの人はどこをほっつき歩いてるんだか…

   エレオノーラ、入場。

エレ   たっだいまー!
ジャック お帰りなさいませ、エレオノーラ様。
ロバート エレオノーラ!また街に行ってたのかい?
     これでもう13日連続じゃないか!
エレ   あらロバート、ご苦労様!ふう、つっかれたー!
ロバート 疲れたって…よく僕の前で言えるよね、それ。
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