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FATHER

『FATHER』
※結婚式披露宴の余興としても上演しました。

【登場人物】６名（男５女１）
青年：緊張している。礼儀正しい。
娘　：青年の婚約者。
父達：１から４まで。父４はウルトラマンのマスクをかぶっている。

【上演時間】10分

【本編】

青年「き、緊張するなあ。」
娘　「大丈夫、そんな固くならないで」
青年「大丈夫か？　お父さん怖い人？」
娘　「大丈夫。優しいから。じゃあ、」
青年「ちょ、ちょっと待って！　あのさ、お父さんに僕らがどう知り合ったか話してる？」
娘　「話してないけど、なんで？」
青年「もし聞かれたらどうしよう？」
娘　「正直に、街歩いてたらこの人にナンパされてーって答えるけど？」
青年「いや……それ、イメージ悪くない？　なんか軽薄な男に思われそうでさ。」
娘　「あ、そっか……じゃあ、私からナンパしたことにするね！」
青年「それはそれでどうだろう。もっと無難に、友達つながりでーとかにしよう？」
娘　「なるほど。じゃあ、私に仲のいい友達がいてー」
青年「そうそう。」
娘　「で、その子が町を歩いてたら、この人がナンパしてきて」
青年「ちがう！　余計駄目だよ！　なんか変な三角関係できてるじゃん！」
娘　「あーもう大丈夫大丈夫。適当にごまかしておくから。それより違う質問考えよう？」
青年「違う質問？」
娘　「例えばー、おほん、きみは娘のどこが好きなのかね？」
青年「あ、は、はい！　えーと、優しいところが好きです！」
娘　「他には？」
青年「えーと、笑顔がすてき！」
娘　「他には？」
青年「頑張り屋！」
娘　「他には？」
青年「ほ、ほか……？」
娘　「もっといっぱいあるでしょー！」
青年「お父さん、そんなにいっぱい聞いてくるかなあ？」
娘　「いいから、ほら、もっと！」
青年「そんな急にいっぱい思いつかないよ」
娘　「いろいろあるでしょ！　セクシーだとか、スタイルがいいだとか！」
青年「ぼく、初対面のお父さんにむかって、そんなこと言うの！？」
娘　「料理がうまいとか！」
青年「いや、料理は……」
娘　「歌がうまいとか！」
青年「いや、歌もあんまり……」
娘　「…………もう、結婚やめる！」
青年「あー、待って待って！　ごめん！　わかった、ちゃんとやるから！」
娘　「じゃあ、お父さん呼ぶよ。おとうさーん！」

父１「なんだ」
父２「なんだ」
父３「なんだ」
父４「……」

青年「えっ？」
娘　「紹介するわね。私のお父さんとお父さんとお父さんとお父さんよ。」
青年「……はい？　え、ぜ、全員お父さん？」
娘　「そう。まずは一番手前が実の父。」

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