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スモークフィルム

■題名：スモークフィルム　　　　　作：つむぎ日向

■登場人物　（男：３　女：２　計：５　　その他：数名）

青木　達也（あおき　たつや）・・・・男：２７才（回想１７才（高２））：主人公

桜井　沙織（さくらい　さおり）・・・女：１７才（高２　回想のみ登場）：達也の旧友

衛藤　杏奈（えとう　あんな）・・・・女：２６才（回想１６才（高１））：達也の妹：既婚者

木村　直人（きむら　なおと）・・・・男：２１才：引越し屋：既婚者

石山　和人（いしやま　かずと）・・・男：４７才（回想のみ登場）：数学教師

以下兼役可
三田村　薫（みたむら　かおる）・・・男１６歳（回想のみ登場）：杏奈の高校時代の彼氏

街の店員

通行人

直人の同僚

■あらすじ

　　――現実は、映画のように面白い話も奇跡もない。
　　それは、数年住んだマンションからの引っ越し当日のこと。
　　長年忘れていた学生時代のことを思い出した男は、ふとしたきっかけから手伝いに来ていた妹とその話をする。
　　忘れていたもの。忘れられないもの。忘れてはいけないもの。
　　あなたは、今のあなたがある「きっかけ」を憶えていますか？

■本編

プロローグ

　　　　開幕。
　　　　青木達也の部屋。中央に小さな机があり、その前でうたた寝している達也。
　　　　机の上に置かれたノートＰＣ（あるいはテレビ）から、映画の音声が聞こえてくる。
　　　　達也の携帯が鳴り、達也は目を覚ます。
　　　　衛藤杏奈からの電話に出る達也。

達也　「……もしもし？……ああ、今？今は……引越しの準備中で……え！？寝てないよ。ただ、ちょっと映画観てて……分かった。じゃあ、昼ぐらいに迎え行くから。それじゃ、後で」

　　　　達也、電話を切り、流れていた映画も止める。
　　　　立ち上がり、達也にだけ明かりが当たる。
　　　　達也モノローグ。

達也　「懐かしい夢を見ていた。忘れていたはずの昔の話。もう二度と思い出すことはないと思っていた想い出……なんで今さらこんな夢を見たのか……」

　　　　達也、下手に目を向ける。
　　　　下手端に明かりが点き、高校の制服姿の桜井沙織が立っている。

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