tensai
「tensai」 作:つむぎ日向
◇登場人物(全4人(男3人、女1人))
・天才
・ヤス
・直人
・咲
◇本編
開幕。
明転。(上手中央に天才、下手中央にヤスが立っている)
正面を向いて話し出す天才。
天才 「私は天才だ」
ヤス 「友人がこんなことを言い始めた……完全にヤバい奴だ」
天才 「どれぐらい天才かと言うと、説明するのもバカバカしいほどに天才なのだ」
ヤス 「これはかなり重症だ」
天才 「だが、あえて凡人の君達に説明しよう。まず勉学においては、私の右に出る者はいない」
ヤス 「俺は彼と小中高一緒だったが、テストは毎回赤点だった」
天才 「次にアート。これも右に出る者はいない」
ヤス 「中学の美術の成績は5段階評価中1」
天才 「ナンバー1!」
ヤス 「ちなみに一番良いのは5だ」
天才 「スポーツだって、私の右に出る者はいない」
ヤス 「高校の時の50メートル走……」
天才、ヤスの掛け声に合わせて走る準備をする。
ヤス 「位置について……よーい、ドン!」
走り出そうとするが、転ぶ天才。
着いた手が骨折する。
天才 「痛っ!折れた!手折れた!」
ヤス 「彼はこれを年に三回やっていた」
元に戻る天才。
天才 「そう。どんなことでも、私の右に出る者はいないのだ!」
ヤス 「おそらく、「右に出る者はいない」以外のワードを知らないのだろう」
天才 「私は天才だ」
ヤス 「困り果てた俺は、仕方がなく病院に連れてきた」
場所が変わり、病院の待合室。
天才 「こんな所に連れてきて、いったいどうするつもりだね」
ヤス 「どうって、診てもらうんだよ先生に」
天才 「先生?私以上の先生がいるのかな?」
ヤス 「だいたいの先生はお前以上だよ……それにしても遅いな〜」
先生が来ず、イライラするヤス。
天才 「凡人はこれだからいけない」
ヤス 「何が?」
天才 「焦ることは何の役にも立たない。ゲーテの言葉だ」
ヤス 「それが?」
天才 「まだ分からないのか。これだから君は凡人なんだ」
ヤス 「別に凡人で構わないよ。ちょっと先生呼んでくる」
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