閻魔の簪
「閻魔の簪 〜えんまのかんざし〜」作・ながみねひとみ

遠景(エンケイ) 九九九代目、閻魔に就任する。山犬の妖怪。
小雪(ショウセツ)遠景と恋仲の夜盗。

昂鶴(コウカク) 代々、「閻魔」になる妖怪に仕える鬼。冥鶴とは対称的。
冥鶴(メイカク) 代々、「閻魔」になる妖怪に仕える鬼。昂鶴とは対称的。

煉毅(レンキ)  虎狼族。慶臥に一族を殺され、仇を討つため命を狙っている。
貞些(テイサ)  花仙人。薬を扱う。煉毅に命を救われ、一緒に旅する。
庵慈♀(アンジ) 白狐。新栄が管理する牢獄に囚われていた妖怪。

新栄(シンエイ) 都を支配する。閻魔の簪について情報を持っている。
史長(フミナガ) 新栄を思い、仕えている身。

慶臥(ケイガ)  黒竜族。煉毅の仇。「閻魔の簪」を狙う。
庵慈♂(アンジ) 庵慈♀と同一人物。慶臥に仕えている。

紫雲(シウン)  都で医者をしている。萬魏の妻。
萬魏(バンギ)  都で風景画を描く絵師。紫雲の夫。

快毅(カイキ)  煉毅の父親。

子供・村人・式神・囚われの妖怪

たとえ認められなくとも、側に居続けたいと願う二人がいる。

ひっそりと灰になりたい女がいる。
灰になる前に女であってほしいと願う男がいる。

夢を男の成し遂げようとする背中を見続ける女がいる。
夢の中でにごっていく男がいる。

一途に思いを寄せ幸せを感じる女。
長く居く共にいることに疑問を感じ始めた男

「閻魔の簪」という秘法を求めて…

「プロローグ」

    音響。
    逃げるようにやってくる遠景と小雪。
    小雪、途中で崩れ落ちる。

遠景   小雪…大丈夫か。
小雪   すまない。遠景。最後の仕事と思っていたら…甘く見ていた。
遠景   何もいうな。傷口が開く。
小雪   やはり天は許してはくれなかったな。
遠景   どういうことだ。
小雪   お前と結ばれること。
遠景   何を言っている。こんな傷、すぐふさいでやる。
小雪   傷はふさげても、傷跡が残る。
    再び、そこから膿がでて腐っていくものだ。
遠景   なぜ、そんなことを言い出す?
小雪   お前の力は私のような人間のために使うものではない。
遠景   馬鹿なことを。俺が守りたいから使う。何が悪い。
小雪   遠景、お前もわかっているだろ。お前は妖怪、
    私は人間。異なる世界のものだ…誰も認めない。誰も許さない。
遠景   だから、行こうと。二人だけの場所を求めて。
小雪   …そうだな。すまない。弱気になった。だが見てみろ…あっけない。
1/30

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム