彼は何かを忘れているようです。
『彼は何かを忘れているようです。』
〈登場人物〉
・G(男) 主人公。学生
・先生(男) 頼りになる先生
・A(女) 真面目な女子生徒
・B(男) お調子者の男子生徒
・C(男) 飄々とした男子生徒
・D(女) 明るい女子生徒
・E(女) 心優しき女子生徒
・F(女) 変わり者
第一場面
幕が開くと明るい音楽が流れ、舞台上も明るくなっていく。七脚の椅子が置かれ、それぞれに一人ずつ生徒が座っている。下手側には教卓。教室からは青空が見える。Gは座ったまま眠っていて、先生が近くでその様子を見ている。音楽F・O。
先生 「起きろ」
G 「う……ん」
先生 「起きろ」
G 「まだ夜中だろ」
生徒 「(笑い)」
先生 「起きろ! まだ四時間目、真っ昼間だぞ!(と、言ってGを叩き起こす)」
G 「(慌てて)お、お早うございます! 先生!?」
生徒 「(爆笑)」
G 「え? オレ寝てた……? いや、たしかに寝たけど……って、寝てない、寝てない!」
B 「おいおい、起きても夢の中ってか」
D 「おーい、大丈夫ですか〜」
先生 「寝てただろ」
G 「知らない、知らないって!」
C 「寝てたよ。爆睡だった」
先生 「いい加減認めろー」
G 「ええっ!」
F 「全然起きなくって、死んじゃったのかと思った」
生徒 「(うんうんと頷く)」
G 「えっ! ちょっと、まっ――」
E 「居眠りは駄目だよ」
G 「あっ、はい。……すみません」
先生は教卓の方へ戻っていく。
先生 「わかればいいんだ。にしても、もう少しましな口の利き方できないか。一応、先生と生徒なんだ。これが俺の授業じゃなかったら、もっと説教くらうことになってたぞ」
G 「気を付けます」
先生 「皆はもう高校二年生なんだ。少しは社会人としての自覚を持てよ」
生徒 「はーい」
G 「高二ってなんだよ。オレもう高校生じゃないし」
先生 「何か言ったか」
G 「……はーい。すみませんでした」
A 「先生、早く授業再開して下さい」
先生 「あ、はーい。えっと……どこまでやったっけな」
D 「教科書四十六ページじゃないですか〜」
C 「いや、違うよ。ここは先週終わった」
B 「それなら、ワーク九十六ページだ!」
A 「まだそんなに進んでないわ」
F 「先生、どうしますか?」
先生 「……じゃあ、敬語の勉強だ!」
B 「唐突だな」
A 「今更敬語ですか?」
1/17
面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種
Windows
Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。