遅刻と時計、本番前。
遅刻と時計、本番前。
◆登場人物
一樹(カズキ) ♂演劇部部長 仮面マニア。文化祭の本番前であるというのに、一向に姿を見せる気配はない。
一子(イチコ) ♀……演劇部唯一の常識人。部員たちにツッコミつつ部をまとめるしっかり者。
本番前、部長から早く集合するよう言われたようだが……。
飛鳥(アスカ) ♀……正夫に惚れている。そのクールビューティーな振る舞いに惚れる男子は多く、告白をするものは後を絶たないが、
玉砕率は100%である。好きな子はいじめてしまうタイプ。
正夫(マサオ) ♂……なぜか飛鳥に惚れられている。その手中から逃れることを夢見る演劇部唯一の一年生。
飛鳥の過度な愛情表現に戦々恐々とする日々を送っている。お調子者
美穂(ミホ) ♀……無駄にハイテンションであり、独特の味覚の持ち主。その両腕によって生み出される料理は国宝級のまずさである。
(当の本人はおいしいと思っている。)文化祭ではクラスのクレープ屋のメニューを考えたらしいが……。
部室 鞄だけが置いてある。
一子 小走りで部室に入ってくる。
一子 「みんな、遅れてごめんっ。……って、まだ誰も来てないの?あれ、この鞄……。
あのアホ部長のだ。早く集まろうとか自分で言ったくせに、どこで何してんだか」
飛鳥 優雅に歩いて登場する。
飛鳥 「ごきげんよう、一子。早いのねぇ」
一子 「早いのねぇじゃ無いわよ、飛鳥。今何時だと思ってるの?」
飛鳥 「あら、まだ集合時間までは余裕があるはずだけど?」
一子 「あんた、部長から話聞いてないの?最初に言ってた時間より早く集まることにしたのよ」
飛鳥 「ああ、そんな話も聞いたような気が、しなくなくも無いわね」
一子 「まったく……。ところで飛鳥、部長見なかった?そこに鞄は置いてあるんだけど」
飛鳥 「さぁ?知らないわよ。午前中に射的のところで見かけたけど、それっきりね。トイレなんじゃないの?」
一子 「そうかな?それにしては長い気がするけど。もしかして、まだどっかで遊んでるんじゃ……」
飛鳥 「あらあら、そんなに彼氏さんのことが心配?部長さんも幸せものねぇ」
一子 「っな!?だ、誰が彼氏よ!馬鹿なこと言わないで」
飛鳥 「あーあ。私も彼氏がほしぃわぁ」
一子 「だから違うってば。それにあんた、毎日のように告白されてるじゃない。今更男に不自由
する身分じゃないでしょうに」
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