長靴下をはいた猫
いちき串木野市立串木野中学校
中学校演劇フェスティバル2015出品作品
長靴下をはいた猫
串木野中学校総合芸術部
顧問 中村一則 作
■登場人物■
〈キャスト〉
・ 子猫(十六夜※いざよいと読みます。)
・ ベル(美しいの意:仏)
・ シャノアール(黒猫の意:仏)
・ ブランカ(白の意:西)
・ 月影(バーのママ)
・ 夢糸(商人スペード)
・ 祢子神(※ねこがみと読みます。)
・ サスケ(スケさん)
・ 一角(カクさん)
・ イエネコ1/2
・ ノラネコ1/2/3
・ 黒ずくめ
場面1 猫たちの抗争(ダンス)
夜。暗闇の中,ネコたちが目を光らせあちらこちらから現れる。
激しい音楽とともに猫たちが踊り出す。上手側にイエネコの集団,下手側にノラ猫の集団。イエネコは上品な格好だが,ノラネコはラフな格好。音楽に合わせて,ケンカのシーン。
そこへ,通り名「泣き黒子の美しいネコ」ことノラネコのベルが現れ,イエネコ集団とノラネコ集団の間に入り,両方のネコたちを片っ端から叩きのめしていく。抗争していたネコたちは,なおもベルに飛びかかろうとするが,ベルが目で制する。
ベル あんたら,いつまでこんな争いを続けるつもりだい?そんなに痛い目みたきゃ,私がいくらでも叩きのめしてやるよ。
下手から声がし,黒猫が現れる。
シャノアール てめえら,そこまでにしときな!敵う相手じゃないってこたあ分かってるだろう?
抗争していたネコたちは二手に分かれ,睨み合っている。
ベル シャノアール,あんたがいてこの体たらく。ちょっとはなんとかなんないのかい?
シャノアール 面目ねえと言いてえところだが,縄張り争いはネコの本能だからな。ふっかけられたケンカを買わねえわけにはいかねえな。
上手から声がし,白猫が現れる。
ブランカ 聞き捨てならないね。(抗争していたイエネコたちに向かって)君たち!けがはなかったかい?
シャノアール ほう?聞き捨てならないってなあ,どういう意味だい?
ブランカ こっちがふっかけたケンカってところだよシャノアール。イエネコは平和主義者なんだ。大方,下品なノラネコが因縁をふっかけてきたんだろうさ。
シャノアール なに?・・・お高くとまってるじゃねえか。餌もねぐらも人間頼みのイエネコ風情が!ノラネコは独立自尊。誇り高い生き物なんだ。お前らとは性根が違う。こちらから約束を違えるこたあねえ。
ブランカ ・・・無礼なことを言ってくれますね!シャノアール。イエネコは血統からして高貴な生まれ!何処ぞの馬の骨・・・いやネコの骨だかわからないノラネコとは違うのです。こちらから約束を破ることなどありえない。
ベル シャノアール,この御仁は?
シャノアール 「生爪をはがしたネコ」。
ベル あんたがイエネコのボス,ブランカ!
ブランカ 私はその通り名で呼ばれるのを好まない。ご主人様を傷つけないよう爪を整えているだけです。・・・ところで,あなたは,どなただろうか?
ベル あたしは,ベル。
ブランカ あなたが,あの「泣き黒子の美しいネコ」!たしかに噂通りだ。美しく,強い。
シャノアール言っとくが,そいつもノラネコだぞ!
ブランカ 無粋な言いようだ。美しさにイエネコもノラネコもありません。
シャノアール は?さっきと言っていることが正反対じゃねえか
ベル ブランカ,あんたを見込んで頼みがあるんだが・・・
ブランカ あなたのおっしゃることならなんでも聞いて差し上げたいが・・・
ベル いきさつは分からないが,この争いを納めちゃあくれないか。
ブランカ ・・・それは,そちらの方の出方次第。
シャノアール それは,こっちのセリフだ。
ベル ・・・どっちが先に手を出したかなんてことをほじくってもなにも出てきはしない。大切なことはノラネコとイエネコ,それぞれに指図できるのはあんたたちだけだってことさ。
シャノアール ちげえねえや。しかたねえな,今回はおめえに免じてことを収めようじゃねえかベル。
ベル それでこそ「泣く子も黙る黒い猫」
ブランカ ・・・仕方がありませんね。他ならぬあなたの頼みだし,イエネコは平和主義者ですから。(イエネコたちに向かい)今日のところは私に免じてうちに帰りなさい。ご主人様が心配するからね。
抗争していたネコたちのうち,イエネコたち顔を見合わせ,舌打ちしながら下手に去る。
ベル ありがとうよ。
ブランカ いずれまたお会いしましょう。
ブランカ,踵を返し,上手に捌ける。
ノラネコたちそれを見て調子づいて,挑発的な言葉をかける。「へへーんだ。おとといきやがれー」「この,腰抜けどもー」「いつでも相手になってやるぜ!」
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