GO!GO!!ブレーメン
GO!GO?ブレーメン
人物
ロバート高田
犬飼志郎
猫田実子
閑古鳥欽一
OP曲。明転。舞台はとある小劇場。客電は点いたまま。劇場主の閑古鳥が舞台上に立つ。
閑古鳥 「・・・名残惜しいなあ」
閑古鳥 「(客席に)今じゃ、こんな寂れた劇場だけどね。昔は結構賑わってたんだよ。芝居だけじゃなくて漫才とか、ダンスとか、マジックショーなんてのもあったなあ。まあ、今は見る影もないけれどね」
閑古鳥 「スポットライトに照らされる舞台。満員の客席から鳴り響く拍手の音。僕は今でも、昨日のことのように思い出せる」
拍手のSE。
舞台上の照明が消える。花道のロバート高田。人を待っている様子。
高田「おう、今帰りか・・・おいおい待て待て。ちょっと待て。無視すんな。用があるから待ってたんだよ。聞け、大事な話だ・・・社長から聞いたんだけどさ、冬の定期ライブ中止するって本気なのかよ?お前、定期ライブはさ、デビュー前からずっと続けてきたことじゃねえか。確かに、最近は俺たちも仕事が増えて忙しくなってるから・・・え?いや、まあ厳密には仕事増えてるのはお前だけど・・・それはいいんだよ。俺が言いたいのは、ファンの前でネタを見せるっていうのは大事なことだから・・・は?おい、なんだよメリットがないって。お前は漫才師としての魂をなくしちまったのか?いくらテレビの仕事が増えても、俺たちにとって漫才って言うのは原点であり、かけがえのないものじゃねえのかよ?・・・ん?なに?うん、うん、そうだよな。なんだ、わかってんじゃん。漫才は大事だし、ファンも大切だよな。びっくりさせんなよ。じゃあ一体何にメリットがないって言うんだよ?・・・俺?漫才はやりたいけど、俺とやるのはメリットない?ちょっと待てよ。ずっと一緒にやってきたじゃねえか。そんな・・・まさかお前、解散とか言い出すのか?ロバートデパートをここで終わらせちまう気かよ?・・・あ、解散する気はない?そうなのか、それは・・・一部メンバーを変更?新しいロバートが来る?社長も了解済み?待て!状況についていけない!酒田、ちょっと落ち着こう。落ち着いて話そう。あそこのジョナサンでね。ドリンクバーおごるから。俺、無料券持ってるからさ。酒田?酒田くん?酒田ちゃーん!」
高田の悲鳴が響き渡る中、暗転。
閑古鳥 「猫田くーん、ちょっと来てくれるかな。猫田くん?猫田くーん!」
舞台は変わる。ブレーメン小劇場。下手袖から閑古鳥の声。従業員の猫田が登場。
猫田 「はいはいお呼びですか、オーナー」
閑古鳥 (下手から顔を出す)「いいものを作ったんだよ。運ぶからちょっと手貸して」
猫田 「はあ・・・」
猫田、一度下手そでに去る。2人が運んでくるのは、大きな看板。「ありがとうさようなら。ブレーメン小劇場」と汚い字で書いてある。
閑古鳥 「どう?」
猫田 「・・・どう。て言われても。なんですかこれ」
閑古鳥 「猫田くん、しっかりしてよ。今夜のイベントのこと、忘れちゃったわけ?」
猫田 「忘れてませんよ。忘れるわけないでしょう?イベントの段取り組んだの、ほぼほぼ私なんですからね」
閑古鳥 「そうだよね。いやあ、猫田くんは本当によく手伝ってくれたよ」
猫田 「手伝ったじゃなくて、ほぼ私一人でやりましたよね?オーナーほとんど何の役にも立ってませんからね?」
閑古鳥 「ええ?いやだなあ。僕だって色々やったじゃない。色々買い物しに行って」
猫田 「財布をなくす」
閑古鳥 「ダイレクトメールを発送しようとして」
猫田 「葉書をなくす」
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