すくえますか?
【登場人物】
小野内 茜(夏祭り愛好会)
染谷 紺菜(夏祭り愛好会)
伊藤 ちよ(夏祭り愛好会)
高梨 美羽(夏祭り愛好会)
飯田 知子(夏祭り愛好会)
吹石 凜(2年6組)
加賀美 楓(2年5組)
本田 潮里(生徒会長)
石崎 実夏(生徒会役員)
荒井 先生
少女
文化祭初日の早朝
金魚すくいの飾り付けのある教室
舞台下手に金魚すくいの水槽が置いてある。水槽にはフタがされている。舞台上手には大量の段ボール箱。
染谷「おはよー!さあ、頑張るわよ!売り上げ目標5万円!あれ?あれ?・・・あ〜もうまったく!7時集合ってあれほど言ったのに、なんでまだ誰も来てないのよ!」
(教室の片隅の段ボールからガサゴソいう音)
染谷「え、ちょっと、何、何この音?ネズミ?」
隅にあったほうきを手に持ち、段ボールの箱をつつく。段ボール箱の影から、キャベツの葉を頭からかぶった伊藤、ゆっくりと体を起こす。
伊藤「私はかわいいピーターラビット・・・」
染谷、伊藤をどつく。
染谷「何寝ぼけてるのよ!」
伊藤「あ、イボイノシシ!」
染谷「なんですって?」
伊藤「・・・あ、ああ・・・おはよ〜」
染谷「おどかさないでよ、どしたのよ?そんなとこで?」
伊藤「いやぁ、ちょっと早く来過ぎちゃって、誰か来るまで寝てたんだけど・・・なんかウサギになった夢見てた」
染谷「なんでウサギなの?」
伊藤「いやだって、これだけキャベツに埋もれてれば、そういう気分になるって。このキャベツなんなの?私たち金魚すくいでしょ?なんでこんなにキャベツ必要なの?金魚ってキャベツ食べるの?」
染谷「あ、これ?これ6組のお好み焼きのやつ」
伊藤「ああ、6組お好み焼きなんだ。外のテントだよね?」
染谷「うちらが教室借りてる間、荷物置く場所がないからって、こっちがわだけ荷物置き場に使わせてくれって。」
伊藤「なるほど、でもラッキーだったよね、ここ使えて。ここ入り口そばで人通り多いから。」
染谷「そうそう、ぜったいお客いっぱい来るよ」
伊藤「しっかしどれくらい売るつもりなのかな、6組はお好み焼き。これすごい量だよ?」
染谷「なんか2000人分ぐらいだって」
伊藤「2000人!なんかその数文化祭としておかしくない?だいたいそんなに大量に焼けるの?」
染谷「鉄板10枚ガスコンロ20台で大量生産とかって言ってた」
飯田、なにか食べながら登場
飯田「いや〜すごいよ外、なんか文化祭っていうよりお好み焼き祭りみたいになってるよ!」
染谷「あ、おはよ〜、遅いよ!」
飯田「ゴメン、朝ご飯食べてたら遅くなっちゃって。」
伊藤「食べてたらって、じゃあ、今食べてるのは何?」
飯田「お好み焼き、友達にもらったの。6組の。試作品だって。」
伊藤「あ、いいなぁ」
飯田「いやぁ、それがさぁ、試作品だから文句言うのも何なんだけど、美味しくないんだよね。」
染谷「あ、そうなんだ・・・そんなんで2000人分も売れるのか?」
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