男共のバレンタインデー
織田晴信・ハル
木下貴久・キノ
松平政宗・マツ
(学校の机が三つ。椅子も三つ。照明、中央の机にサス。ハルが立っている)
ハル:織田晴信十七歳。みんなからはハルと呼ばれている。
今年もヴァレンタインデーの日がやってきた。でも俺は毎年チョコがもらえず、
クラスのやつにからかわれる。モテない君とか、語呂の悪いあだ名をつけられる。
くそぅ。もうあんなみじめな思いは沢山だ。今年はからかわれるのが嫌だから
こっそりと自分で買って入れておく。…少し虚しい。
しかし!あの悔しさはもうこりごりだ!
(机に入れる)これで今年は何事もあるまい…。(立ち去る)
(マツ登場)
マツ:松平政宗十六歳。友達からはマツと呼ばれている。
今年もヴァレンタインデーの日がやってきた。今年もハルのやつは
チョコがもらえないに違いない。また、からかわれるんだろうなぁ。かわいそうに。
と、言っている俺も実はチョコをもらえない。しかし、ハルがいるおかげで
俺はからかわれない。地味な男の役得だ。今年も、ハルが盾になってくれる…。
(通り過ぎようとしたらハルの机にチョコがあるのを発見)なんということだ!
このままでは俺がからかわれてしまう。こまった。
(声色を変えて)取ってしまえ。
は!今の声は?
(同じく)取ってしまえ。
あ、あなたは神様ですか?
(同じく)そうだ。私は神だ。
神様が言うなら取ってしまえ!ハル、悪く思うなよ。(立ち去る)
(キノ登場))
キノ:木下貴久十七歳。周りの人はキノと呼びます。
今年もヴァレンタインデーの日がやってきた。僕は毎年平均20は堅い。
しかし、それと対照的にハルは今年もきっともらえないのだろう。
そして、今年もからかわれてしまうんだろう。可哀想なハル。
毎年そう思いながらも何もしてこなかったが今年は違う。
ハルのためにチョコを用意した。やっぱりハルの机には何も入っていない。
これで、ハルはからかわれないだろう。(チョコを入れる)これでよし。(立ち去る)
(マツ登場)
マツ:よ〜し、よ〜し、チョコはキノの下駄箱に入れてきたから大丈夫。誰にも見られてない。
怪しまれることはないだろう。…しかし、まさかハルに入れる女がいたとは…。
(チラッと机を見ると)なに!!そんな馬鹿な!2個目だと!!おかしい。
そんなはずはない。やばいこのままでは俺が笑いものに。
(声色を変えて)またとってしまえ!はやく!
は!また神様の声が…。
(同じく)早くしろ!天変地異起こすぞ!
か、神様が怒ってらっしゃる…。しかたない、神様が言うことには従わねば…。
ハル、うらむなら神をうらめ。
こ、これは、いいや!適当に先生の下駄箱のとこに放り込んで……(チョコを取って立ち去る)
(暗転)
ハル・キノ・マツの声:そして、翌日の朝!
(地明かり。マツ、先にいる。)
キノ:おはよう。(ハルのチョコを持っている)
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