段ボールの上でプリントを書くと穴が空く
段ボールの上でプリントを書くと穴が空く
作・金井達   

A:上島 陽子(かみしま ようこ)
B:田所 晃太(たどころ こうた)
二人とも制服。

※繋ぎ部分の転換はジングルのような短い音楽などでテンポ良く切り替えてください。
長くて10秒程度まで(10秒でも長いくらい。)
※その他。潤色・脚色は自由に。

暗転の中Aの声がする。

A:(声だけ。あんまり元気がなさそうに)いってきます…。

明転。
音楽。
舞台は公園。下手に「壽公園」と書かれた石柱が立っている。
(作るのめんどくさかったら公園とわかる感じでベンチか何か、
もしくはホリにプロジェクターで公園の映像でも映しておくなどして、公園であることを明示しておく。
上手からとぼとぼとAが歩いてくる。
ため息をついたり、足取り重く途中立ち止まったり。
度々携帯を取り出し悩む仕草。
音楽FO。

A:(咳払いして喉の調子を整えてから、携帯操作して、母親特有の電話時の声の高さで)もしもし〜、3年4組の上島の母ですぅ。いつもお世話になっておりますぅ。あの〜、陽子なんですけど、今日も体調が悪いみたいで…ええ、はい、お休みということで…、あ、いえ、武藤先生には代わらなくても大丈夫ですぅ。はい、よろしくお伝えください〜。はい、では失礼いたしますぅ。(電話切る)……ふぅ。

A、荷物を置いてしゃがみこむ。
音楽。
そこへ、段ボールを抱えたBが下手から歩いてくる。
音楽FO。
適当な所で段ボールを降ろし、中から教科書や筆記用具、
そして「板」を取り出して、板を段ボールの上に置き、教科書を広げる。勉強を始めようとするところで、

B:あっ!

何かを思い出したように板などを一旦どかして段ボールの中からリコーダーを取り出し、
リコーダーで学校の「チャイム」を演奏する。
Aはリコーダーの音でBに気が付き、訝しげな目で見る。
吹き終えたBは満足げに勉強を開始する。
ジングル。
AとB、移動する(日数の経過を表現)。
Bは段ボールやその他を持って移動。3ヶ所程度移動する。
AとBは対角線を保ったまま移動(二人の間を中心として回るように動く)するが、徐々にAはBに近付いていく。

Bが下手側を向いて座る位置にきたところで、ジングルFO。
B、教科書やノートとにらめっこ。
Aが背中から声をかける。

A:あ、あの…。

B、気が付かない。

A:あの……

B、気が付くが無視。

A:ねぇ!聞こえてるんでしょ!

B、困ったような顔で。
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