通勤電車のドア越しに
「通勤電車のドア越しに」
A・大島和也:
B・坂本亮太:
C・斎藤幸一:
D・森義晴:
E・村上明晴:
F・氷川やすし:
(舞台は終電の中。セットは電車のドアと座席。その他電車と分かるものをおいてある。)
(曲「カルメン」カットイン。)
(緞帳が上がる。)
(曲フェードアウト。)
(暗闇の中声がする)
A:すいません、もういいですって坂本さん。
B:よくありませんよ、このままじゃあ大島さん、一生このままなんですよ。
A:そんな大袈裟な。
B:任せてよね。斎藤さん。
C:はい?
B:斎藤さん、そっちお願いします。
C:これでよろしいでしょうか?
B:じゃあ、いきますよ。せ〜の、ん!
C:ん〜!!
A:やっぱり、無理ですって…。
(舞台地明かり)
B:どうです?抜けそうですか?
A:無理ですね…。
B:もう少しやってみましょうか。
A:ですからいいですって。
(黒子、ベニヤを持っていく)
C:坂本さん。ちょっといいですか?
B:なんだい?斎藤さん。
C:腕が疲れてきたんですけど。
B:がんばってください!大島さん救出までの辛抱です。
A:あ、斎藤さん。辛かったら休んでいいですよ。
B:何言ってるんです。一生このままでもいいんですか?
A:大袈裟ですよ。駅に着けばドアも開くでしょう。
B:じゃあ、休みましょうか。
C:ええ。
A:あっさりしてますね。
B:いや〜疲れた。ん?斎藤さん腕どうかしたの?
C:あ、いや、明日筋肉痛になってませんかね?
A:大丈夫ですよ。
C:明後日ならいいんですけど、明日はね…。
B:明日何か?
C:取引先の専務と接待ゴルフなんですよ。
B:あ〜なるほどね。腕、大丈夫?
C:まだ、今のところは。
B:そう。それはよかった。
A:すいませんねぇ。
B:大島さんは気にしないで。
C:そうですよ。大島さんは何も悪くありません。
ただ、電車のドアに挟まってしまっただけですから。
A:すいません。
B:いいですって。
C:しかし、電車さっきから止まったまま、動き出しませんね。
A:何か事故があったんじゃないですか?
B:事故?事故と言うと?
A:人が轢かれたり、車があっていけなかったり。
C:人が轢かれたんですか?
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