黒い竜と黒い姫
黒い竜と黒い姫 作・ながみねひとみ
黒竜ケイガ…「龍神」と言われる岩倉池の主。蛇、人に化けることができる。
イチハ…地獄谷出身の猿の兄弟・3つ子の長男
フタバ…地獄谷出身の猿の兄弟・3つ子の次男
ミツバ…地獄谷出身の猿の兄弟・3つ子の三男
高梨政盛…母親思いの青年。
高梨黒姫…政盛の生き別れた娘。
更科の殿…更科の領地をおさめる殿。年寄りが嫌い。
※参考資料
「黒姫」伝説
「姨捨」伝説
他・桔梗が原、地獄谷、戸隠の言伝えなど
幕開け
―音楽―
語り むかし、むかし信濃の国の岩倉池に一匹の黒竜が住んでおりました。
◇ケイガと黒姫の出会い
桜が舞う里山のふもと。
政盛と黒姫、更科の殿と花見をしている最中。
更科 実に奇妙だな。
政盛 は、はい。私もそう思います。
更科 そなたの年老いた醜い母を山に捨てたと思えば、今度は生き別れた
娘と再会するとはな。
政盛 はい、その奇妙に私がついていけません。狐に化かされているような
気分です。
更科 おい、娘。お前、今までどうやって生きていたんだ?なぜ、政盛を
尋ねてきた?
黒姫 …。
更科 口がきけないのか?
政盛 大変、申訳ございません。殿。実を申しますと、私を探し各地を
尋ね歩いている最中に山賊に出くわしたそうで…。
更科 ほぉ。
政盛 そこで捕らわれて体に火を放たれまして…。全身の皮を焼けただれて、
人であるのかどうかわからない姿なのでございます。
1/24
面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種
Windows
Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。