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門脇さん

門脇さん
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　作：海部守
時：現代

所：日本

登場人物
前田　：ポジティブ
後藤　：ネガティブ

　　　上手に前田。下手に後藤。小道具などは一切無し。パントマイムで行う。

前田　　総務の門脇さんは、美人で誰にでも優しく仕事も出来て人気者。そして、俺に気
　　　がある。いつも目が合うと笑いかけてくれる。
後藤　　総務の門脇さんは、いつも僕だけにすごい剣幕で怒る。だから僕はとても嫌われ
　　　ている。だけど、そんなに怒らなくてもいいじゃないか。

　　　後藤の言葉に自信を深めていく前田。

前田　　総務の門脇さんが今日も俺に向かってほほえんでくれた。俺が告白をしてくるの
　　　を待っているのだろう。
後藤　　総務の門脇さんが今日、俺を見て楽しそうに笑っていた。でも、その目の奥は笑
　　　っていない。僕に呪いでもかけたのだろうか。

前田　　門脇さんから一般的な男性の食べ物の好みについて聞かれた。そこで思い切って
　　　飲みに誘ってみた。返事はＯＫ。これはいけると確信した。
後藤　　門脇さんが僕の嫌いな食べ物について情報を集めているらしい。きっと嫌がらせ
　　　をしてくるに違いない。

前田　　門脇さんがお弁当を作ってきた。残念ながら俺にではない。

　　　後藤をにらむ。

後藤　　門脇さんが僕にお弁当を作ってきた。
前田　　これはきっとあれだ。いきなり俺に食べさせるのはハードルが高いと思って、他
　　　の男で腕試しをしようと思ったのだろう。

　　　不安そうにお弁当を見る。

後藤　　お弁当箱の中には一見、僕の嫌いなものは入っていない。実においしそうに見え
　　　る。いやいやいや、あの門脇さんのことだ。実は僕の嫌いな物を使っていて、一口
　　　食べると嫌いな物が顔を出し、僕がびっくりしている所を笑いたいのだ。そうはさ
　　　せるものか。

　　　後藤、一気にお弁当を食べてしまう。

前田　　門脇さんが無理やり交際を迫られているらしい。例のお弁当を作ってもらった男
　　　が勘違いをして、強引に迫ってきているという。ここは俺が男としてガツンと言っ
　　　てやらなければ。
後藤　　強引に押し切られるような形で門脇さんと付き合うことになった。これはもう脅
　　　迫だ。付き合ってくれないとあなたに何をするかわからないと脅された。そうなる
　　　と本当に怖いので、仕方が無く付き合うことになった。彼女が何を考えているのか
　　　わからない。おまけに変な男がやってきて門脇さんと別れろと言う。冗談じゃない。
　　　別れたら僕の命は無いだろう。絶対に別れないと言ってやった。

前田　　門脇さんがあの男と嫌々結婚をするらしい。今の仕事もやめるらしい。彼女を幸
　　　せに出来るのは俺だけだ。結婚式には呼ばれていないが、彼女を助けに行こうと思
　　　う。そうしたら、きっと彼女に笑顔が戻るはずだ。
後藤　　なぜか門脇さんと僕が結婚するという話になっていた。そのことについて彼女と
　　　話をすると、彼女は泣きながら、僕が楽しそうじゃないからつい嘘をついてしまっ

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