タタリ屋さんのお仕事
タタリ屋さんのお仕事
登場人物
千代川 玄音(ちよかわ しずね):女子高生兼タタリ屋さん。真面目だがドジっ子。
谷内 橙香(やない とうか):玄音のクラスメイト。一匹狼な不良少女。
椎橋 潤(しいばし じゅん):玄音の片思いの相手。優しくて何でもできる完璧超人。
玄音 はぁ、そろそろ待ち合わせ時間かぁ。嫌だなー、初仕事……。
舞台袖から椎橋が出てくる
椎橋 あれ? 千代川さん、こんなところでどうしたの?
玄音 え、し、椎橋くんこそ一体……。
椎橋 俺は委員会が終わって帰ってるところ。
玄音 そうなんだ。図書委員って結構遅くまで大変だよねー。
椎橋 まあね。でも仕事が無い間は本読んでいられるし結構楽しいよ?
玄音 そっかー。私はこれからバイトで、人を待っているところなんだ。
椎橋 へえ。千代川さんこそ遅くまでお疲れ様。
玄音 そ、そんなことないよ! バイトって言っても家の手伝いみたいなものだし……。
椎橋 そうなんだ? それじゃあまた明日。頑張って。
椎橋、はける。
玄音 ……ああーやっぱり椎橋くん優しいし格好いいなあ!
偶然ここで会えるなんて凄くツイてるかも。
でも、もし私の仕事知られたら……。やっぱり、軽蔑されちゃうよね。
……それにしても、そろそろ依頼人さん来るころかなあ?
玄音、辺りをうろうろする
しばらくして舞台袖から橙香が出てきて声を掛ける
橙香 ねえ、そこのアンタ。
玄音 私? ……って谷内(やない)さん?
橙香 アンタ、なんでアタシの名前知ってる訳?
玄音 や、谷内さんと同じクラスの千代川玄音(しずね)です……。
橙香 悪いけどクラスの奴らの顔とか名前とかあんまり覚えてなくて。
それよりここに「タタリ屋」って奴来てない?
玄音 タタリ屋は私だけど……。
橙香 え!?
玄音 え!? ……って依頼人さんって谷内さんの事だったの!?
橙香 何よ。悪い?
玄音 す、すいません……。では、改めまして。
千代川呪術代行サービスです。よろしくおねがいします。
橙香 ……知ってると思うけど、谷内橙香(とうか)。よろしく。
で、早速なんだけど、この写真の奴を呪ってくれない?
橙香が写真を差出し、玄音が覗き込む
玄音 どれどれ……って、椎橋くん!?
橙香 何? タタリ屋、コイツ知ってるの?
玄音 知ってるも何も同じクラスだし! っていうかなんで椎橋くんを?
橙香 別に。強いて言うなら、見てるとイライラして落ち着かないのよ。
玄音 ……何それ!? そんな軽々しく人を呪おうだなんてどういうこと!?
橙香 はぁ? っていうかアンタ、タタリ屋でしょ? 何言ってる訳?
玄音 実家の家業なんだからしょうがないじゃん!
こんな家、卒業してお金貯めたらすぐに出ていきたいよ。
ついでに今日が初仕事ですから実際に他人を呪ったことはないですよーだ!
橙香 アンタの事情とかどうでもいいんだけど。てかやる気無いんなら他の人を呼――
玄音 駄目。というかやらせません。
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