死ねないくすり
死ねないくすり
ミヤコ
ナツホ
具合が悪そうに、ミヤコが机に突っ伏して呻いている。
そこに、ナツホがやってくる。
ナツホ ミヤコ、ミヤコー
ミヤコ あー、ナツホだぁ
ナツホ 体調悪いんだって？大丈夫？
ミヤコ お腹痛い…
ナツホ …女の子？
ミヤコ 女の子
ナツホ またかぁ
ミヤコ しょうがないじゃん、嫌でもきちゃうんだからー
ナツホ 重いってわかってんなら、ひどくなる前に対策しなよ
ミヤコ おくすりちょうだい
ナツホ ひどくなる前にくすり飲めって言ってんの
ミヤコ おくすりちょうだい
ナツホ はいはい
ナツホ、自分のかばんからくすりを取り出す。
ナツホ どーぞ
ミヤコ、ナツホからくすりを受け取る。
ミヤコ ありがとー
ナツホ 1回2錠です
ミヤコ ほんと準備いいよね
ナツホ ミヤコがひと月ごとに「お腹痛い、お腹痛い」ってわめくからでしょ
ミヤコ そっかぁ
ナツホ 私は別にそんなにひどくないからね
ミヤコ ナツホ、優しいー
ナツホ はいはい。私、そろそろ行くけど、大丈夫？
ミヤコ うん
ナツホ うん、じゃあ、行くわ。ちゃんとくすり飲むんだよ
ナツホ、行こうとする。
ミヤコ ナツホ
ナツホ ん？なに
ミヤコ ううん。呼んでみただけ
ナツホ なにそれ。あんまり無理したらダメだからね
ナツホ、去る。
ミヤコ うん、ありがと
ナツホが行ってしまったのを見送るミヤコ。
しばし間。
しばらくして、ミヤコ、重そうな体を動かして、自分のかばんの中から小瓶を取り出す。
その小瓶の中には、くすりがたくさん入っている。
ふたを開けると、先ほどナツホがくれたくすりもその中に入れてしまう。
大切そうに、小瓶を見つめるミヤコ。
ミヤコ いつでも死ねるね
幸せそうに笑っている。
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