透明人間のためのスラップスティック
透明人間のためのスラップスティック
古澤 春一
登場人物
教師1 徳田博俊 男。40歳くらい。
透明人間になる薬を発明した高校の化学教師。生徒からは「ドクタ
ー」と呼ばれている。
生徒1 山下和夫 男。高2。
理科室によく来る生徒。綾と付き合っている。成績が悪く、国語科の教師に追い回されている。
生徒2 宮崎高志 男。高2。
理科室によく来る生徒。和夫の親友。体育会系で陽気。
教師2 細川良子 女。30代後半
国語科の教師。派手な眼鏡と服をいつも着用している。
生徒からの評判は悪い。声が高く、よくヒステリーを起こす。
生徒3 尾形 綾 女。高2。
和夫の彼女。和夫に連れられ理科室にやって来る。驚くとよく気を失う。一人になると、ついつい説明口調でしゃべってしまう普通の女子高生。
白衣(しろご) 白子(しろこ) 白い黒衣。歌舞伎でいうところの雪(ゆき)衣(ご)、雪後見。
主に、登場人物が透明になったことを表す黒い衣装の着脱を担当する。あと、舞台上の片付けなど。白装束で顔は出さない。意思があり、物語を混乱させる?
泥棒 泥棒 男。40歳くらい。
なぜか高校に盗みに入った泥棒。見るからに泥棒だとわかる格好をしている。金の臭いに敏感。教頭を人質に理科室に立てこもる。
教師3 服部 男。30歳くらい。
泥棒を追って理科室に来る。泥棒との交渉にあたるが・・・
教頭 教頭 男。50歳くらい。
誠実で真面目そうな顔をしているが、実は金の亡者。業者から多額の袖の下を受け取り、理科室の通気口に隠している。そんな大それたことをしているわりには、気が小さくおどおどしている。
※ 舞台上の人物は黒い衣装を着けることで透明になったことを表す。当然、頭にも着用する。黒子みたいな感じ。
全一幕
・季節は夏
・舞台は高校の理科室。三階にある。
・出はけ口は下手にひとつ(出口1)下手舞台奥(出口2)と上手舞台奥(出口3)にそれぞれ一つ、そして上手にひとつ(出口4)の計四つ。出口2、3にはドアがついている(ドアは手前に開く)
・舞台奥には黒板。その前には教卓。
・上手脇には、骨格標本の入った木製ケース(中は見えない)。簡単な留め金付き。
・骨格標本は頭蓋骨のみ取り外し可能。
・下手には袖に向かって斜めに壁が伸びており、窓がある。泥棒はここから侵入する。
・下手手前には机がある。理科室特有の上面の黒い長机で、人が乗っても耐えられる強度が必要。丸椅子が3つほど。
・また舞台上には、棒、バケツ、バナナの皮が板付きである。
※黒い衣装は着脱が容易であること。そのためには工夫が多分に必要である。例えば徳田は、白衣の下に黒い衣装をあらかじめ着ておけば、白衣の着脱のみでOKとなる。和夫と高志の場合は、ズボンは黒の学生服にしておけば、上着だけの交換で済む。
ちなみに、頻繁に透明となるのは、徳田、和夫、高志の三人のみで、細川と尾形は一度きり。あとの登場人物は透明にならないので、心配は無用。
――― 客入れの音楽としてピンク・レディーのヒット曲が流れている。
舞台上はうっすらと明かりがついている。
――― 音楽の音量が上がり
客電・照明 F・O
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