公園における寸劇
公園においての寸劇(コント)
古澤 春一
休日。昼下がり。新興住宅街の公園。
真ん中にベンチが一台置いてある。
下手より、男が子どもを連れて公園のベンチにやってくる。
子どもは実際には登場しない。
男「じゃあ、お父さんここにいるから、遊んでおいで。うん?それはなに?プレゼント?誰にあげるの?ケンジくん?へー、好きなんだ。行っておいで」
男はベンチに座る。
上手より、女が子どもを連れて登場。(実際に子どもは登場しない)
女「ほらほら、ブランコ空いてるよ。大丈夫、お母さんここで見てるから」
女は子どもを見送り、ベンチに近づく。
男はタバコを吸おうとしている。
女は男に気づき
女「ひろしくん?」
男は顔を上げて女を見る。
女「私。高橋あやか、忘れちゃったの?」
男「(やっと気付いて)あ、高橋さん!?ごめん、全然気づかなかった」
女「しょうがないよね、だって、会うの成人式以来じゃない?こっち帰って来てたんだね」
男「うん。高橋さんはずっとこっち?」
女「うん。ずっとこっち。今はもう結婚して、あそこにはもう住んでないけど」
男「近所なの?」
女「あそこのマンション」
男「そうなんだ。じゃあ、近いんだね」
女「そう、だから毎日、連れてきてる。ひろしくんは?」
男「ああ、俺は駅の反対側の、スーパーの裏なんだけど」
女「じゃあ、あんまりこっちは来ない?」
男「うん、いつもは妻が連れて来てるんだけど、今日は休みだから」
女「そうなんだ。でも、ひろしくんも、もうお父さんかぁ」
男「いやー、自分でも驚いてるよ。実感もないし」
女「一人目?」
男「うん。高橋さんは?」
女「うちは二人目。上がもう小学生で。元気なんだー、今日も学校にサッカーやりに行ってる」
男「男の子?」
女「うん。二人ともね。やんちゃすぎて大変」
男「へー、意外だな」
女「(笑いながら)意外って?」
男「いや、なんか高橋さんって、女の子のお母さんになりそうなイメージだったから。一緒に、デパートにお買い物、みたいな」
女「なに、そのイメージ?(笑う)」
男「いやぁ…」
女「でも、よく言われるかも。私も女の子欲しかったし」
男「あ、そうなんだ。じゃあ、次は」
女「ないない。二人だけでも、もう大変なんだから」
男「そうだよね」
女「名前なんていうの?」
男「え?」
女「娘さんの名前。女の子でしょ?」
男「あ、うん」
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