イきたがり
イきたがり
ボク
行きたがり
逝きたがり
生きたがり
息たがり
舞台中央にベッドが一つ。そこで“ボク”が眠っている。
ベッドの横には“行きたがり”がいる。
目覚ましの音が鳴り響いている。
行きたがり …おーい。朝だぞー。目覚まし鳴ってるぞー。起きろー。おーい
ボク (目覚ましを止める)
行きたがり おーい!起きろよ!今日こそはちゃんと起きるってお前言ってただろー!
眠っているので、返事はない。
行きたがり はあー…
(観客に気づいて)あ、どーも。おはようございます
…見てました?ですよね、見てましたよね。そうなんです、起きないんですよこの人。ほんと、困った人で。
一応ね、この人、意地でも起きないこの人がこの物語の主人公なんですね。
そう、残念なタイプの主人公。いや、なにもヒーロータイプとは言わないけど、もう少し前向きだったりね、かっこよかったり、行動的だったらどれだけよかったかなあ、って
え?…ああ、自己紹介がまだでしたね。
おれは“行きたがり”
「どこかへ行こう!」の行くって字を使って、行きたがり。由来は、まあ、そのまんまですよ。どこかへ行きたいんです。ここじゃないどこか、遠くへ!
まあ、とりあえずこの人起こさないといけないんで、ちょっくらこのどうでもいい物語が終わるまでお付き合いお願いします
行きたがりが延々と喋っている間も、ボクは起きる気配がない。
行きたがり、ボクを無理やりにでも起こそうとする。
行きたがり 起きろー!
ボク ああっ!うるせえ!重い!
行きたがり 起きろー!このやろー!
ボク わかった!わかったからどけ!うるせえ!起きるから!
ボク、起きる。
行きたがり おはよう
ボク …はよ
行きたがり さあ、どこに行こうか
ボク え、なんで
行きたがり なんでって、約束したじゃん。今日こそ外行くんだろ
ボク あー…
行きたがり さあ、ほらほら、準備して。どこに行こうか
ボク 寝る
行きたがり えー!それはないだろ。約束破るのかよ
ボク うん
行きたがり ふざけるなってー。お前このままひきこもりにでもなるつもりか?
ボク うん
行きたがり だめだめだめ。やっとお前が外行く気になったって、それをおれがどれだけ楽しみにしてたかわかんないの?
ボク うん
行きたがり うん、とりあえずまた寝ようとするのやめようか。ほら、起きて。きちんと座って
ボク あー、ほんとお前はいつもいつも…。ボクが何しようが関係ないだろ
行きたがり 関係なくないね。どこか行こうって約束したんだからな
ボク …覚えてないなあ
1/8
面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種
Windows
Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。