眠るアンドロイド
Schlaf Androiden
あらすじ
近未来―――これまでの戦争から機械兵器の使用を禁じられ、国民は原始的な紛争を繰り広げていた。
そんな中、ある天才科学者が人間にそっくりなアンドロイドを開発した。アンドロイドの開発は世間には公表されず、戦闘用に改造されたアンドロイドは機械兵器の規制を逃れ、秘密裏に兵士として戦地へ駆り出された。
やがて内戦は一人の英雄の活躍により終息の時を迎え、戦闘用アンドロイドは一体残らず処分され、天才科学者は拘束された。
投獄される直前、彼女はこんな言葉を残したという。
?これで終わったと思うなよ!必ず復讐してやる!
政府は彼女の「復讐」を恐れ、彼女のいた研究所を捜索したが、手掛かりは掴めなかった。代わりに、彼女の研究資料からアンドロイドを再現し、無害な「お手伝いロボット」として製造、一般家庭へ普及させていった。

それから5年の歳月が流れた。

登場人物
R01(ロイ)(名前候補:R04(ロア)、AR14(アリア)、K1514(キーシャ)、O2(オズ))
    内戦終盤に博士によって製造された戦闘用アンドロイド。他の個体よりも高性能なAIを持ちながら、戦地へ送られることはなく、博士によって5年間のスリープモードになっていた。

ハルト
    内戦で活躍した剣の使い手。当時17歳。勝利を報告しに家に帰ったところ惨殺されている家族を発見し、その後は英雄の名を厭い森の奥にひっそりと住む。

ストルツ
    工学の才能を買われ、何も知らされずに戦闘用アンドロイドを製造していた。戦争が激化し家族を失った際に自分のしてきたことを知り、復讐に燃える。投獄される直前、自分の子に似た戦闘用アンドロイドを造り、内戦が収束したであろう5年後に向けてスリープモードにして隠した。



森の中

(ピンスポ)
フラフラと歩くロイ
電子音とともに充電が切れ倒れこむ

暗転

明転
英雄の部屋

ハルト   あぁ、よかった、復帰したんだね。
ロイ   …ここは、ブラットヴェルクの森ですね。(電子音)
ハルト   そう。森の中の私の家だよ。
ロイ   あなたは誰ですか?
ハルト   ああ、私はハルト=ミザントロピーという者だ。街へ出ようとしたら君が充電切れで倒れててね。保有者の名前が刻まれていなかったから、とりあえず充電して聞き出そうと思って。君の主人の名前は?
ロイ   …わかりません。
ハルト   どうして森の中で倒れていたのかは?
ロイ   …わかりません。
ハルト   そうか。君の名前は?
ロイ   …製造番号はR01です。
ハルト   …うーん、手がかりなし、か…R01だと呼びにくいから、そうだな、ロイって呼んでもいい?
ロイ   了解しました。…いい響きですね。
ハルト   充電が終わったら街へ出よう。技師のところで調べてもらえば何か分かるかもしれない。
ロイ   了解しました。充電は6時間後に終了します。
ハルト   結構長いんだね。今日はもう寝ようか。おやすみ。
ロイ   おやすみなさい。

暗転
明転

英雄が出てくる

ハルト   ふわぁ…ああ、おはよう、ロイ。充電は終わった?
ロイ   おはようございます。充電完了しました。

ハルト、ロイの前を抜ける
ロイは目で追う
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