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short HOPE

はかない望み

『short HOPE（はかない望み）』

Ａ女子高生１
Ｂ女子高生２
Ｃ先生
Ｄ母親
Ｅマッチ売りの少女
Ｆ社長
Ｇ社員

上演上の注意
場面転換は、照明を工夫したり、エリアを変えるなどの方法で対応して下さい。
暗転で場面転換しないように気をつけてください。

開幕

以下は音楽に合わせたパントマイム（もしくはダンス）で、ＡＢの退屈な日常を表現する。

朝起きて、身支度して、電車に乗って登校。教室で着席し出席を取ってから授業風景。
周りの生徒は真面目に勉強しているが、ＡＢは、教科書の後ろに鏡を隠し、枝毛切りや、眉毛を整えたりする。先生はそれを見てしかる。
授業終わり、起立・礼とともにＡＢ以外の生徒は去る。Ａ・Ｂ、一緒に去ろうとする。

音楽Ｆ．Ｏ。

第一場　学校とその周辺

Ｃ「ちょっと、ちょっと話があるんで、残ってくれ。」
Ａ「はあ・・・（Ｂに）悪い、先行ってて。」
Ｂ「うん、じゃまた後でね。」
Ａ「・・・なんですか、話って？」
Ｃ「この、この前書いて貰った、お前の進路希望アンケートなんだけど。お前、いったいどういうつもりなんだ、これ？（と、Ａに紙を渡す）」
Ａ「ああ・・・別に・・・いいじゃないですか。」
Ｃ「よくないよ、いいか？『進路アンケート問一、あなたの進路希望を書いて下さい。』第一希望、『ウルトラマンになって地球の平和の為に戦う』何なんだ、これは？」
Ａ「いや、退屈しない仕事でいいかなあと・・・いけませんか？」
Ｃ「当たり前だろ！ほら、先週の進路説明会！先生、就職するときは、フリーターとかじゃない、きちんとしたフルタイムの職業に就きなさいって言っただろ。」
Ａ「ああ・・・」
Ｃ「あんな３分間しか働けないパートタイムの仕事を希望してどうするんだ。いいか、３分だぞ３分。時給1200円でも60円じゃないか。ガリガリ君も買えないぞ。おまけに週一でしかシフト入んないし・・・」
Ａ「いやあの、問題はそこなんですか？」
Ｃ「それから、この第二希望、『戦隊ヒーローのピンクになって地球の平和の為に戦う』これだよ！」
Ａ「いや・・・だって・・・退屈しなそうだし・・・」
Ｃ「・・・なんでピンクなんだ？」
Ａ「は？」
Ｃ「それは、確かにどうせなるんならピンクを目指したい。ピンク、いいだろう。先生、その気持ちはよく分かる。だがな、お前の実力からして、ピンク一本ってのはあまりにチャレンジ過ぎる。自分を見つめろ。さっきも鏡見てたろ。悪いことは言わん。イエローも考えとけ。」
Ａ「・・・それ、どういう意味ですか！」
Ｃ「あと、それに！いいか、普通の番組と違って、あの手の番組は２月で新番組と入れ替わるんだよ。お前がが卒業するのは３月だろ。間に合わないじゃないか。こういうことがあるから、きちんと求人票を確認しろって、進路説明会で先生言っただろ！」
Ａ「あの、もういいですか？」
Ｃ「さらに、この第三希望、『世界征服を目指す悪の組織の女ボスになって幼稚園のバスを襲撃する』・・・この件に関しては先生あちこち問い合わせた。」
Ａ「どこに？」
Ｃ「で、結論としては・・・幼稚園のバス襲撃しても世界制服は出来ん！」
Ａ「・・・いや、知ってる、みんな知ってるから。」
Ｃ「・・・残念だ。俺は教師としてこれほど無力を感じたことはない。生徒の夢をかなえる方法を、どうしても見つけてやれないなんて・・・」
Ａ「あの、もう帰っていいですか？」
Ｃ「確かに、夢を持つのは大切なことだ・・・」
Ａ「なんだかなぁ・・・・」
Ｃ「が、もっとこう、なんというか・・・ウルトラマンとか戦隊ピンクとかよりも、もう少しなりやすいものの希望はないのか？」
Ａ「『ウルトラマン』より『もう少し』ってのが、よくわかんないですけど。」
Ｃ「ほら、なんというか、もっと普通というか、実現可能な、現実的な職業で、なりたいものとか。たとえば・・・そう、マスコミ関係で働きたい、とか。」
Ａ「ああ、そういうのは、ちょっと、思ってました。」

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