気がつくと、僕はサバクの上にいた。
And I miss you babe...
『気がつくと、僕はサバクの上にいた And I miss you babe...』
  
   オオトモ    男性
   カモメ     女性
   ミユキ     女性
   シバザキ    男性
   アユミ     女性
   テヅカ     男性
   ハラダ     初演時女性
   イマイ     初演時女性
  
               舞台はメインとなる大きなスペースと、主人公オオトモの部屋
               である小さなスペースの二面で構成されている。
               特に注記の無い場合は全てメインのスペースを指す。
               メインのスペースの舞台は1993年である。
               小さなスペースは、1993年に紛れ込んでしまった2000年の
               アパートの一室である。
  
               開幕
               オオトモが走っている。
               いい歳して会社に遅刻しそうなのである。
  
   オオトモ    あー! どうして毎朝こうなんだ。どうしてだ? 思い出せ、思い出せ、夕べのことを思い出せ。オレ目覚ましかけたのか? 夕べはどこで飲んだんだ? って言うか、ホントに飲んだのか? 飲んだ飲んだ、飲んだ気がする。考えろ、考えろ。いや、考えるな、走れ、走れ。そうだ、走れ、走るんだ、オレ。頑張れ、オレ、頑張れ、オレ。
          ああ、なんだか気持ち良くなってきたぞ。走るって気持ちいいなあ。煙る朝もや心地よい風。そうだ。今オレは風。風になる一歩手前だ。あと一歩。あと一歩で風になるんだ。
          まて! 風になってる場合か! オレはオレだ。何でもいいから走るんだ。うー、気持ちわるい。座っちゃおうかな、座っちゃおうかな。座っちゃったら動けないだろうな。動かないだろうな、オレ。えーい、座っちゃえ。ぺたん。
          ふう。一服。一度座っちゃうともう立てないもんね。なんで走ってたんだ、オレ。ばかばかしいなあ。大体そんなに急ぐ必要ないんだよ、人生なんて。急いだところで…
          だから! 会議に出るんだろ、オレ! 走れ、オレ! あー! どうして毎朝こうなんだ。思い出せ、思い出せ。夕べはどこで飲んだんだ? そうそう夕べはゲンちゃんが…。
  
               オオトモ、立ち止まり
  
   オオトモ    違うぞ。夕べは…
  
               カモメ、走ってくる。
  
   カモメ     オオトモ!
   オオトモ    え?
   カモメ     え? じゃないだろ。また遅刻かよ。ぼーっとしてると遅れるぞ。
   オオトモ    あ、カモメさん! 久しぶりじゃないですか!!
   カモメ     あ? そうか? 久しぶりか?
   オオトモ    久しぶりですよ。どうしたんですか!
   カモメ     どうしたんですかじゃないだろ。会社行くんだろ。
   オオトモ    そりゃ、僕はそうですけど。
   カモメ     バカだね。あたしだってそうだよ。
   オオトモ    カモメさんも行くんですか?
   カモメ     決まってるだろ! あんた、何言ってんの?
   オオトモ    あ、まあ、いいんですけど。
   カモメ     変なやつだね。ほら、急ぐよ。
   オオトモ    カモメさん、変わってないですね。
   カモメ     なにが?
   オオトモ    口調が。
   カモメ     うるさいね。そう簡単に変わらないよ。
   オオトモ    まあ、そうなんでしょうけど、少しくらい。
  
               二人、会社に到着。
  
   二人      セーフ!
  
               課長、ハラダが入ってきて、
  
   ハラダ     ちょっと遅いんじゃないの?
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