嘘屋
『嘘屋』
【役者】5〜6(男1〜2 女3 不問1)
1.女 :主人公。20代。名前はリカコ。
2.店 :嘘屋店主。怪しげな老婆。マントで顔は半分隠れている。
(老婆でなく、男老人でも怪しげなセールスマンでもよい)
3.母 :リカコの母。
4.父 :リカコの父。
5.近所:インターホンで出てくる近所の人。男女不問。出番1シーンのみ。
舞台袖から声のみでもよい。
6.男 :主人公の婚約者。出番1シーンのみ。
実際に出てきても、出さずに主人公のマイムのみでもよい。
【上演時間】30分
【あらすじ】
「どんな嘘でも買い取ります。どんな嘘でもお売りします」
嘘を売買できる奇妙な店『嘘屋』
リカコは自分の嘘を200万円で売ってしまう。
それは「私は浮気なんてしていない」という決して手放してはいけない嘘だった。
売った嘘はもう使えない。200万と引き換えに浮気がばれて婚約破棄されてしまった。
途方にくれたリカコはもう一度嘘屋を訪れる。
大きな嘘ほど、より高い値段がつく。
それを聞いて、入院中の父親についている嘘を思い出した。
「本当は癌で余命半年なのに、ただの胃潰瘍だから心配ない」という嘘。
この嘘を売ったら父親に真相がばれてしまう。
でも、その嘘の値段は一千万円。金に目がくらんだリカコは……
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【オープニングBGM 奇妙な恐ろしげな音楽】
店「いらっしゃいませ、お客様。嘘屋へようこそ。
当店ではありとあらゆる嘘を取り扱っております。
嘘も方便。嘘八百。嘘から出たまこと。嘘つきは泥棒の始まり。
信じる者は救われる。正直者が馬鹿を見る。
いえいえ、罪悪感など必要ありません。
嘘は人生の潤滑油。生きていくのに絶対に必要なものです」
女「ああ、もう! なんで起こしてくれなかったの!?」
母「お母さん、ちゃんと起こしたってば」
店「嘘」
父「朝くらい一人で起きれなくてどうする?」
母「そうよ。これからは逆に、リカコがタダシくんを起こしてあげる立場になるのよ」
女「結婚したら、ちゃんとするってば」
店「嘘」
母「あ、お父さんも準備して。病院の予約10時だから」
父「必要ないと思うがなぁ。ただの寝冷えだろ。いまは全然痛くないし」
店「嘘」
母「念のために検査しておいた方が、お父さんだって、安心できるでしょ?」
父「別に、もとから不安になんて思ってないんだが……」(退場)
店「嘘」
女「いってきまーす」(退場)
母「いってらっしゃい。あ、リカコ!
タダシさんにこないだのおみやげのお礼言っておいて!
あれ、すごくおいしかったって!」
店「嘘」
店「さあさあ、ぜひ当店へ立ち寄りください。
どんな嘘でもお売りします、どんな嘘でも買い取ります。
当店をどう使っていただくかは、お客様しだい…………」
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