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タナトピア

タナトピア

配役（男２女２）
・先生：村で唯一の医者。気が弱く、物静か。のぞみの夫。
・ひかり：のぞみの実妹。つまり先生の義妹。村の外から来た常識人。
・由佳：既婚者。人をからかって楽しんでいる様子。
・橘：夢子の父親。娘を溺愛している。

その他
・のぞみ：先生の妻。プロローグではひかりが一人二役。それ以降は人形に毛布をかけて。
・夢子：赤ん坊。人形を使用。
上演時間：約70分

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＜開幕＞

◆プロローグ

オルゴール音が鳴りはじめる→じょじょに明転
ベッドの上に妻が座っている。その隣に男も座っている
二人で静かにオルゴールを聴いている
オルゴール開始から15秒→ノック音
由佳、上手から登場

由佳「先生、こんにちは。（先生気付かず）先生。こんにちは」
先生「わっ、ゆっ、由佳さん？　いつからそこに（オルゴール閉じる）」
由佳「あら、ちゃんと声かけたわよ」
先生「あ、そうですか？　すみません、気づかなくて（妻を寝かせる）」
由佳「いつもの薬が切れてしまったので……
　うふふ……ごめんなさい。お邪魔だったかしら」
先生「え。あ、やだな、別に、そんな」
由佳「いいのよ。夫婦仲むつまじいのが一番だわ
　うらやましいわぁ……うちの主人なんていつも寝てばかり。
　話しかけても聞いてないのか、ろくに返事もしてくれないんだから」
先生「きっと無口なだけですよ」
由佳「そうかしら。まぁ確かにそういう物静かなところに惚れて私は結婚したのだけど……
　あら、ごめんなさい。愚痴のつもりがのろけになってたわね」
先生「はは、夫婦仲むつまじいのが一番ですよ。はい、薬です」
由佳「ありがとう。あら、先生。主人のぶんがないわ」
先生「あ、すみません。うっかりしてました」
由佳「いいのよ。自分で取りに来ない主人が悪いんだもの」
先生「はい、どうぞ」
由佳「ありがとう。それでは失礼するわ……望さん、お邪魔してごめんなさいね」
先生「ははは……」

（由佳出ていく）

先生「なんだかんだいって、由佳さんたち夫婦も仲よさそうだよね。
　さてと、食事にしようか」
橘「せ、先生！　うちの夢子が！」（上手から駆け込んでくる）
先生「橘さん、どうしました？」
橘「夢子がベッドから落ちてしまって！　頭を打って意識がなくて！
　つれてこようかと思ったけど、動かさないほうがいいと思ったから！
　すぐ来てください！」
先生「わかりました！　急ぎましょう！
　じゃあ、望、ちょっと、行ってくる！

（父と男、退場）
（取り残されるノゾミ。そこに由佳再登場）

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