チャンス!
兵庫県立篠山鳳鳴高等学校演劇部 二〇一五年コンクール参加作品
『チャンス!』
作 田中 大樹
【キャスト】
中田 昇(ノボル)
河井 成海(ナミ)
大下 薫(カオル)
『1.ファーストシーン 〜我ら、謎のボランティア部〜』
爽快感のあるBGMと共に幕開き。舞台上にいる『動きやすい格好』をした女子二人にサスペンションライト。
カオル 爽快でした!わたしは、こう言っては何ですが冒険活劇というのはあまり好きではありませんでした。自分が女の子で、友情や冒険、自然などにあまり興味がなかったからでしょう。友達といるよりもひとり遊びのほうが好きなわたしでした。
ナ ミ 今回、この十五少年漂流記をわたしはたったの数時間で読み終えてしまいました。大人用の長編をこの速さで読んだのには自分でも驚きました。そして読み終わったあとなんとも言えない爽快感と安堵感が胸に広がりました。
カオル このような大きな冒険は確かに私達の身近に転がっているものではありません。しかし彼らの懸命な様子は私たち自身がこれから先、人生でぶつかる壁を乗り越えるために必要なものを教えてくれたような気がします。
セリフに全く合わないセミの鳴き声と、地明かり。舞台は某高校の部室であり、室内には掃除箱・ゴミ箱・ホワイトボード、それに机とイスが2つずつある。また、何が入っているのかよくわからないダンボール箱が数箱転がっている。舞台下手奥の蛍光灯が切れているようであるが、気にならないといえば気にならない程度。
カオル しんど!
ナ ミ 私ら、ボランティア部やで。
カオル ほんまそれ。
ナ ミ 私ら、ボランティア部やで!
カオル うん。
ナ ミ 私ら、ボランティア部やでっっ!
カオル …そんな何回も言わんでも(いいやん)。
ナ ミ わーたーしーらー!
カオル (ため息)
ナ ミ ほんま意味わからん。なぁ、私ら何部?
カオル ボランティア部。
ナ ミ そう、ボランティア部やで、ボランティア部!
カオル …自発的に、人助けをするぅ?
ナ ミ ブォランティア。
カオル …絶対発音違うやん。
ナ ミ ボゥランティーァ?
カオル ボーランティィィィア!
ナ ミ ブーオランティアー?
カオル ボランーーティアーッ!
二 人 (爆笑)
ナ ミ 頭大丈夫?
カオル はあ!?
ナ ミ 引くわぁ。
カオル あんたも同じことしてたやん!
ナ ミ 違う違う、私は英語の発音練習してただけ。
カオル は?
ナ ミ 私がやってるの、英語の課題やから。
カオル あー、そうですか!
ナ ミ え、待って、私ムカつかれてる?
カオル (持っていた原稿用紙を丸めて投げつける)
ナ ミ やめて!暴力反対!
ナミがカオルを割と強めにパンチする。「やったな?」などと言いながらカオルはナミを追いかけ回す。途中でナミが転んで、最後の一太刀を浴びせようとするが、ここでおしまい。ジャブを食らわせて終了。
カオル はぁー。
ナ ミ なぁ、ホンマに大丈夫?
カオル …大丈夫じゃないかも。
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