城東地区大会二〇一一年一〇月一日(土)4校目
   

    筑田周一作

          「卍」

                       女子聖学院高校演劇部

   
    配役
        吉田のぶ代
        ◯橋政子 
        大野楓  
        濱口かな


 
    一場 カルミナブラーナCI。照明FI。不思議の国。
    「不思議の国のアリス」の児童館公演のクライマックス。中央に制服姿の政子が倒れている。音楽に合わせてゆっくり身を起こす。立ち上がる。何かに追われている。下手へ逃げる。向こうから何かがやってくる。上手へ。立ちふさがるもの。後ろへ。立ちふさがるもの。前を向く。前からも迫ってくる。後じさり、うずくまる。そのまま倒れる。音楽CO。間。お姉さん姿の楓が下手から登場。
楓    アリス?まあ、こんなところで寝てしまって。アリス、起きなさい。
    政子、慌てて逃げようとする。
楓    アリス!どうしたの?
政子   ああ、お姉さん!トランプ!兵隊が!
楓    え?
政子   バラの花が!ペンキを!裁判で……!。
楓    アリス、どうしたの
政子   ハートのクイーンが!
楓    ねぼけたのね?夢でも見てたの?
政子   え?お姉さん?
楓    そうよ。
政子   ここは?
楓    ピクニックはもうおしまい。帰るわよ。
政子   あれは、夢、だったの?
のぶ代   (下手から飛び出してくる。アリスの格好をしている)うさぎさん、どこ?
    政子・楓、びっくりして固まる。上手袖からウサギの耳をつけたかなが飛び出してくる。
かな    ちょ、ちょっと、まずいって!
のぶ代   まあ、うさぎさん!こんなところに隠れていたのね。探したんだから。
かな    (客席を気にしつつ)えーと、どなたでしたっけ?
のぶ代   私はアリス。
かな   ええ〜?
楓    (にこやかに取り繕うように)まあ、何を言っているのかしら。アリスはこの子よ。
政子   え、ええ。
のぶ代   私がアリスよ。
    政子と楓、のぶ代をなんとか舞台から退場させようとする。
のぶ代   私が、私が、不思議の国から来たアリス。
政子   何?
楓    何言ってるのよ、アリスはこの子よ。
のぶ代   この子は偽物でしょ。わかっているのよ、あなたが偽物だってことは。
楓    偽物?証拠でもあるのかしら?
のぶ代   お姉さんよりも背が高いんじゃない?
    楓と政子背比べをする。
のぶ代   ほら。お姉さんより背が高いアリスなんているのかしら。
楓    今時の子は発育がいいのよ。
のぶ代   いくらなんでも成長はやすぎでしょう。(笑う)
楓    あなただってうさぎより、背、小ちゃいんじゃないの?
のぶ代   あのねえ、今時、こんぐらいのでかいうさぎはいくらでもいるのよ。
楓    いないわよ!
のぶ代   いるわよ。じゃあ、勝負しましょう。
政子   勝負……?
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