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ピアノ

　　　　東京都中央発表会参加作品　二〇一四年十一月八日七校目
　　　

　　　　筑田周一作
　　　　ピアノ
　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　女子聖学院高等学校演劇部

　　　　配役
　　　　保坂鞠子
　　　　川本綾子
　　　　霜山美沙子
　　　　曾野和歌子
　　　　北野美緒子
　　　　増田良枝
　　　　白井路津子
　　　　佐藤カヨ

　　　　１
　　　　幕開き。歌声が聞こえてくる。
　　　　かぐわしき花の香り　園に満ちて
　　　　爽やかなる青葉の色　岡にあふる
　　　　みどりなす風にそよぐ　桜よ楓よ銀杏よ
　　　　うるわし我らの学び舎　幸あれ　女子聖学院
　　　　五人の女学生が思い思いのポーズで歌っている。川本綾子にスポット。川本は歌が始まると話し始める。
川本綾子　　拝啓
　　　　大澤寿人様
　　　　初めてお便りします。お元気でお過ごしですか？
　　　　大澤さんのことを学校で先生から教えていただきました。あの伝統あるボストン交響楽団を日本人で初めて指揮したんだよって。それから、大澤さんは私の憧れになりました。
　　　　そんな素晴らしい方が、私たちの校歌を作曲したんだと、街角に立って大いに宣伝したい気分です。
　　　　勤労動員でも、休憩時間にはみんなで校歌を歌っています。今は学校に行けないけれど、我慢です。大澤さんの作って下さった歌を歌って、元気をいただいています。
　　　　私もいつか、大澤さんのような作曲ができるようになりたい。それが今の私の夢です。
　　　　それでは、またお手紙書きます。
　　　　さようなら。
　　　　昭和十九年九月十日
　　　　川本綾子
?　　　追伸寿人さんとお呼びしてもいいですか。
霜山美沙子　綾ちゃん！
　　　　スポット消える。
川本綾子　　寿人さん……。
霜山美沙子　はい？
川本綾子　　え？
霜山美沙子　休憩時間終わるよ。
川本綾子　　もう？
霜山美沙子　うん。
川本綾子　　じゃ、始めよう。
霜山美沙子　うん。
　　　　佐藤カヨ、足を引きずりながら、ゆっくり登場する。
佐藤カヨ　　休憩終了！
川本綾子　　（深呼吸をする）よし。（みんなの前に進み出ると、くるりと舞台に背を向ける）整列！
　　　　パッと横に一列に並ぶ五人。
川本綾子　　川本班、総員六名、欠席０名、番号！１！
霜山美沙子　２！
曾野和歌子　３！
北野美緒子　４！

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