『自分日記帳』
『自分日記帳』
一人芝居。

「 」の中は声を出し、( )は声に出さないで表現。
  *ケース・バイ・ケースで。 全部読んでもよい。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

■神社。

「明日のセンター試験、上手くいきますように!」
 (目標78%。東アジア大学に一発合格できますように!)
「ふ〜。」
 (気分転換に神社まで合格祈願に来てみたけど、来て良かった。
  なんかホッとした。さ、帰ってまた勉強しよ)

「帰ろうとした矢先に、声をかけられました。
 『落としましたよ』と言って渡された手帳に、見覚えはなかったのですが、
 なぜか自分の物だという確かな感覚を覚え、
 受け取ってしまいました」

「あ。ありがとうございます」
■首をかしげる。

(これ、なんだっけ)
■1,2ページ目を開く。

「生まれ、1993年」
 (2月10日 午前3時45分。 
 兵庫県立西宮病院 産婦人科にて 生まれる)
「ナニコレ?」
 (俺と同じ誕生日じゃん。母子手帳?」
「父」(シンイチ)
「母」 (タカミ)
「え! 俺の!?」
■サッと1ページ目を見るが分からず、カバーを外して表紙を確認する。
 そこには自分の名前が書いてあった。

 (俺の名前。俺のだ。 俺の、母子手帳?)
■数ページ確認する。
 (違う)
「なんだこれ!」
■この手帳には自分の人生のことが事細かに書いてあった。
「6歳。幼稚園の年長。にじ組。
 初恋のサナエ先生が担任。
 子供の無邪気さを武器に、サナエ先生の胸に飛び込むケンタロウ君に嫉妬する」

「おいおーい! 何だこれ!?」

「小学校4年、同じクラスのユミちゃんのことが好きで、
 放課後こっそりユミちゃんの席に座ったり、
 たて笛を吹いたりすると言っていたケンタロウ君に嫉妬する」

「えぇぇ! ・・・やめてよケンタロウ君・・・」

「ていうか、何でこれ、俺の秘密が全部書いてあるんだ!?」
 (誰が書いたんだコレ!?)
 (・・・イヤ、これ、俺の人生が書いてあるんだ・・・なんで、こんなモノが)

■後半のページを開いて。
「2036年・・・!!!」
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