『あっちでもこっちでもない戦場』
『あっちでもこっちでもない戦場』(仮) 2014.10.29 第二稿

<登場>
 ●二等兵=宇喜多   ●一等兵=戸川   ●小隊長=長船(おさふね)   ●明石さん

※この作品は架空の戦争を舞台にしています。また未来に起こりうる戦争を想定してもいません。
 完全なるフィクションです。

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<シーン:宇喜多1>

■軍部の一室。
■舞台上には宇喜多二等兵が一人。
■上官に報告している。
宇喜多「いえ、以上で私が戸川さんについて知っていることは全てです。
はい、それ以上のことは分かりません。
はい、失礼します」
■退室する。

宇喜多「いいじゃないか。もう戦争は終わったんだから」

宇喜多「僕が戦争に行ったのはたったの4ヶ月。
そのうち、3ヶ月は初等の訓練でしたから、実際に戦地にいたのはわずか1ヶ月。
1ヶ月経って、戦争が終わりました。
本当は最低でも2年の兵役があるから、早く帰れて、無事に帰れて、本当に幸せです。

宇喜多「ここに日記があります。でも、書いたのは僕じゃない。
書いたのは、戸川さんです。これは軍には見せれません。

これは、僕が戦地で出会った、ある兵士の記録」


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<シーン:戦地1>

■前方に構えている兵士(戸川)と、
寝ている兵士(小隊長)がいる。顔は見えない。
兵装は近代的である。

■そこに若い兵士(宇喜多)が現れる。ビシッと敬礼!
宇喜多「失礼します!」
■戸川一等兵が軽く敬礼を返す。

宇喜多「自分は、本日よりこちらに配属となりました宇喜多二等兵であります!よろしくお願いします!
一等兵「よろしく〜。とりあえず座った方がいいよ。危ないから」
宇喜多「え?はい!」
一等兵「頭ぶち抜かれるから」
宇喜多「はい!」
一等兵「あと敬礼もやめてね。君が新人だってばれるのはいいけど、俺が上官だと思われたら、俺が狙われるだろ?」
宇喜多「はい!失礼しました!」
一等兵「だから敬礼すんなって」
宇喜多「はい!」
一等兵「俺は戸川一等兵。お前の上官じゃない」
宇喜多「はい!」
一等兵「・・・もういいよ」
宇喜多「はい。こちらで横になっているのは?」
一等兵「それが君の上官です」
宇喜多「どこか負傷されたのですか?」
一等兵「ただ寝ているだけです」
宇喜多「小隊長。すみません。小隊長」
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