タクシー


『タクシー』


登場人物

男1
男2(役所)
女 (OL)



    男1 ひどく慌てた様子で入場。

男1「どうしよう、まいったな…」

    車に寄りかかる。

男1「う〜ん、う〜ん…。とりあえずココには居たくないな」
男2「あの、ちょっとすみません」
男1「うわぁっ、なっ、何だ、何か用かっ」
男2「え?あの、あなたが寄り掛かっている車、私のなんです。出したいんですけど」
男1「あ、あぁ。それは悪かった」
男2「いえいえ、良いんですよ。それでは」

    男2 右手を軽く上げ、走り去ろうとする。

男1「おいっ、待ってくれっ」
男2「え?私ですか?」
男1「そうだよっ、アンタしかいないだろっ」
男2「私に何か用ですか?」
男1「あぁ、ちょっと、車に乗せてくれっ。急いでるんだっ」
男2「えっ?あっ、ちょっと待って下さいよ」
男1「頼むよっ。急いでるんだ」
男2「ちょっと、勝手に乗らないでくださいっ」
女 「どうしました?」
男1「なんだっ、なんか用か、姉ちゃん」
女 「え?何か、もめてるみたいだから」
男2「そうなんですよ。この人が勝手に…」
男1「えぇーいっ、うるさい。お前も乗れっ」
女 「わっ、わーっ、何すんのよっ」
男2「何してるんですかっ」
男1「いいからっ、頼むよっ。本当に急いでるんだよっ」
男2「あ〜、もう。わかりましたよ」
女 「ちょっと、どうするつもりよっ。何このドア、開かない。出して!!」
男2「あっ、すみません、外からしか開けられないんです」
男1「悪いな、姉ちゃん。少しだけだから付き合ってくれよ。訳は後で話すから」
女 「何言ってんのっ、誘拐じゃないっ」
男2「私も何だか分からないのですが、帰りはキチンと送り届けますので」
男1「そうだ、送ってもらえっ。さあ、早く出発させてくれっ」
女 「ま、待ってよっ。ちょっと、いっ、いやーーーーっ」

    間。

    車は走っている。

男2「で?どうするんです?」
男1「あぁ、そうだな〜、とりあえず新庄の方へ走らせてくれ」
女 「ちょっと待ってよ。私の家と反対だよっ」
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