おにごっこ、ひとごっこ

   『鬼ごっこ、人ごっこ』 (改訂版・Ver.5)




CAST 由希   

     昴    

     響    

     兄    

     男    



序    矛盾 本能と理性
    矛盾 自己と社会
    矛盾 協調と個性
    矛盾 優越と劣等
    矛盾 情欲と愛情
    矛盾 理屈と感情

    シーンAの1  

    場所は由希の部屋。
    女子高生の部屋にしてはひどく殺風景でほとんど物が置いていない。

    部屋には男が二人。
    一人は虚ろな目をした少年。部屋の中央でぬいぐるみを抱えて遊んでいる。
    その姿はまるで無邪気な子供のそれである。
    一人は目つきの鋭い青年。部屋の隅で落ち着かない様子のまま中空を仰ぐ。
    イライラとしながら自らを押さえつけているかのように見える。

    しばらくして部屋のドアが開く。
    私服姿の由希が通学鞄を持って登場。

由  「ただいま」
響  「おかえり、ねえゆき、おみやげは?」
由  「ない」
昴  「おかえり、ねえユキ、ただいまのチューは?」
由  「ない」
響  「ねえ、ゆき」
由  「今度は何?」
響  「どこいってたの?」
由  「それは……学校よ」
昴  「制服も着ないで?」
由  「鞄は持ってる」
昴  「中身は?」
由  「……ない」
響  「なにしに行ったの」
由  「うっさいなー、関係ないでしょ」
昴  「制服に着替えてない時点で行く気ないじゃん、学校」
由  「そんなことは……」
響  「ひきこもり」
昴  「ぷ、…ひきこもり…ふふ…ふふんん」(馬鹿にする・笑う)
由  「…………」
昴  「いい加減さ、そろそろ学校行ったほうがいいと思うよ」
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