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アリサ　イン　ワンダーランド

終わらないあんパン論争

.いちき串木野市立串木野中学校
中学校演劇フェスティバル春の発表会２０１５
アリサ　イン　ワンダーランド
?終わらないあんパン論争?
串木野中学校総合芸術部　作
中村一則　　潤色

■登場人物■
・アリサ　超真面目人間。総合芸術部部長
・アヤネ　超お気楽人間。総合芸術部副部長
・ナレーター物語の進行役だが，事件の鍵をにぎる人物。
・新入部員候補　　　　あるときは，普通の中学生　あるときは，ピンクのうさぎバル，あるときはジャムおじさん
・王子のような王女　　　不思議の国の娘
場面?@
　アリス　イン　ワンダーランドが流れ幕が上がる。幕が開ききると同時に音楽がフェードアウトする。
　舞台には，長机が一つ，普通の机が二つあり，壁（または黒板など）には「総合芸術部」「部員大募集」の張り紙。
　椅子にアヤネが雑誌を顔にかぶり、座っている。眠っている様子。
　音楽が終わるど同時に下手より新入部員候補があんパンを手に現れる。
　舞台中央で，戦隊ヒーローのような変身ポーズを決め，大げさにあんパンの袋を破り，さらにポーズを決める。そして，その場に袋を放り出すと，あんパンにかぶりつく。
　しばらく，もぐもぐして飲み込み，力を込め，魔力を試す。が，何も起こらない。何度も，魔力を試すが，何も起こらない。とうとう諦め，手に持っているあんパンを首を傾げながら眺めつつ，上手に立ち去る。
　そこへ，ナレーター入れ違いに上手から現れ，舞台中央まで歩いた時に，あんパンの袋に気づき，やれやれという感じで拾う。近くにゴミ箱を探すがない。仕方なく，ポケットに入れる。
　ナレーター下手側に立ち，話し始める。
ナレーター　春フェスにおいでのみなさん。本日は，わが串木野中学校に遠方よりおいでいただき，まことにありがとうございます。私は，このお芝居のナレーターを務めさせていただく串木野中学校総合芸術部のツカダと申します。諸事至らぬ点があるとは存じますが，何卒ご容赦くださいませ。早速で恐縮ですが，（アヤネに近づき）ぐうたらなこの者のせいで，お芝居の開始が遅れておりますことをお詫びいたします。・・・まったく，困ったものねえ。ほら，アヤネさん・・・アヤネさんったら
　アヤネ，大きく伸びをする。
ナレーター　どうやらやっと目を覚ましそうですので，私は，しばらく失礼します。
場面?A
　ナレーター下手に捌ける。
　同時に，アヤネがガバッと目を覚まし，辺りを見回す。
　しばらく，辺りを見回し・・・
アヤネ　　・・・あんパンだ。あんパンの匂いがする。
　いきなり立ち上がり，舞台中央の辺りをウロウロし，袋が落ちていた辺りに跪き，床を手で撫でる。
アヤネ　　おかしい。この匂いは，確かにあんパンだ。・・・しかも購買部には売っていないあんこの匂い・・・
そこへアリサが、ひとり別の生徒を伴ってやって来る。
アリサ　　さあ、どうぞどうぞこちらへ
部員候補　　あ、はい。あの、いったい何の御用でしょうか？
アリサ　　まあ、まあ、固い話は後にして。ちょっとお茶でもいかがですか。
　そそくさと、カップとお皿を準備しはじめる。
アリサ　　ドーナツとあんパンどちらがお好きですか？
部員候補　　じゃあ，あんパンで・・・
アリサ　　まあ・・・あんパン！私もあんパンが大好きなの。私たち，きっと話が合うわ。
　アリサがお茶を準備している間，出されたあんパンを入念に見る新入部員。アヤネがその様子をじっと見ている。アヤネと目が合い，部員候補は，慌ててあんパンを机に戻す。
　その視線を感じたアリサ、ハッと振り向いき、アヤネに手であっちへ行くように合図し，部員候補に向き直り，お茶を出しながら・・・
アリサ　　お話というのはですね。あなた、お芝居お好きですか？
部員候補　　え、あの、なんですか？いきなり！
アリサ　　もうしわけありません。でも，大切な質問なんです。答えていただけます？
部員候補　　あの，まあ，見るのは嫌いじゃないです。テレビのドラマぐらいですけど
アリサ　　良かった！（部員候補の手を握り，見つめながら）思った通り。きっと私たち仲良くなれます。
部員候補　　はあ？
アリサ　　あ，ごめんなさい。（手を離し，入部届けを出し）早速ですけど，これにサインいただけます？
部員候補　　はあ？・・・「入部届・・・わたしは本日より総合芸術部に入部し，お芝居やダンスを始めとした芸術一般に親しみ，活動することを誓います」・・・これって入部の勧誘だったんですか！
アリサ　　ええ。他に何か？
部員候補　　・・・べつに何もありませんけど，僕は人前に立つのは苦手で・・・
アリサ　　大丈夫。苦手だからこそ練習するのです。
部員候補　　ちょっと待ってください。何を言っているんですか！ぼくはですね・・・
アリサ　　（態度を一変して）つべこべ言わずに，そこに名前を書いておしまい！
　部員候補，立ち上がり，逃げ出そうとするが，そこにアヤネが立ちはだかる。
アリサ　　アヤネ！その人を逃さないで！
部員候補　　き，君たちは・・・（挟まれて，窮地に陥る部員候補）
アヤネ　　・・・どうして，あんパン食べないの？
部員候補　　は？

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