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１５０分

串木野中学校第二学年　第六八回文化祭発表作品
構成劇　　　　　　「一五〇分」

キャスト
表現集団　　二十名程度

　幕が上がる
　プロローグ
　
　舞踊チームによるダンスシーン
　
　ダンスチームのダンスが終わり、舞台上に、二人の少女が残される。ひとりの少女は、ダンスの余韻に感動したように、拍手する。
　第一場
　舞台中央で、二人の少女が話し始める。
美希　　　（拍手をやめ）…とってもいいじゃない。文化祭のテーマにもぴったりだし…
紗季　　　…ありがと、美希。あんたは、そう言ってくれると思ってた。
美希　　　そりゃそうよ。企画.立案の苦労は、おんなじ実行委員じゃなきゃわからないよ。振り付けとか、構成とか...ずいぶん、苦心したんじゃない？
紗季　　　そう！そうなんだよね。今年の体育大会.文化祭共通テーマは「耀」でしょ、それにぴったりの表現ってなんだろう？華やかで、明るい感じで、それでいてイヤミじゃなくて…なんていう風に考えて行くと、どんどん難しくなっちゃって…
美希　　　わかるわかる、その苦労。（ため息）…
紗季　　　…アンタの担当してる研究発表、どういう感じ？順調に進んでるんでしょ？
美希　　　だといいんだけどねえ。（ため息）
　少女たち、舞台上を下手へ歩き始める。それにつれて下手側から、机、椅子、本棚などが黒子によって運び込まれ、図書室の配置になり、生徒4人が配置に付きストップモーション。机上には本や資料が載っている。
　
紗季　　　「平和」を題材に発表するんでしょ。修学旅行や遠足で長崎や知覧に行ったから…
美希　　　…ねえ、紗季、あなたはどう思う？あなただったら「平和」っていう題材と、「耀」っていうテーマをどう関連づける？
紗季　　　何？急に！
美希　　　ごめん…急にそんなこと聞かれても困るよね…
紗季　　　…うまくいってないの？
　秋田から４演技を始める。美希と紗季ストップモーション。
秋田　　　だからさあ、長崎だけにこだわらず、せっかく特攻のことも調べたんだから、それを盛り込もうよ。
蝶野　　　…あのさ、ちょっと、基本的なこと聞いてもいいかな？よくわかんないんだよね。日本って、どこと戦争してたんだっけ？中国？
小坂　　　ちがう。アメリカだよ。
秋田　　　中国ともしてたんだよ。
小坂　　　え？そうなの？
蝶野　　　どうしてアメリカと戦争してたの？
秋田　　　どうしてって…
蝶野　　　そこが分かんないんだよ。アメリカは、日本のドーメー国っていうじゃん。中国とは、センカクとかいろいろあるんでしょ…今も戦争してるんだっけ？
秋田　　　そんなわけないだろ！バッカだなあ。
蝶野　　　どうせバカですよー！歴史苦手だし…
馬場　　　…そもそもさあ、どうして特攻なんてやったのかな？
秋田　　　…そりゃあ…勝つためだろ？戦況が不利になって、一発逆転を狙って…
馬場　　　それ、おかしいよ。
秋田　　　なんでだよ。
馬場　　　ここにさ、アメリカの軍艦の被害は三十二隻って書いてるわけ。
秋田　　　それがどうしたんだよ。
馬場　　　沖縄戦の３ヶ月間で三千機以上も特攻して被害三十二って確率百分の一以下、勝つためにやってたなんて思えない。
蝶野　　　あんまり難しいこと言わないでよ。頭こんがらがる。
小坂　　　…どうせさ、昔のことだろ？めんどくさいよ。なんか適当に発表すれば良いじゃん。
　秋田ら４人ストップモーション。
　
紗季　　　それは…大変だね。
美希　　　…うん。
紗季　　　…ま、まあ、何とかなるって。文化祭までもうちょっと間があるし…
美希　　　…そう…だね。あたし、図書室に寄ってから帰るね。
紗季　　　そっか。…じゃあ、あたし部活あるから…
美希　　　うん。じゃあ。
紗季　　　それじゃ…
　第二場
　美希、図書室に入る。

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